「読書感想」の日記一覧

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「あの家に暮らす四人の女」三浦しをん 読書感想

この本は、なぜかスラスラ読めた。4人の女性のとりとめのない会話がほとんどを占めていたからだろうか。6月に、三浦しをんの「神去なあなあ日常」を読み、山村に生きる都会育ちの青年の話が面白かったので、今度も何か面白いことが書かれているかなと思って読んだわけである。一気に読めたということは、それなりに面白かったというのだろうか。古びた洋館に暮らす、4人の女性が、園芸・買い物、人物評、生き方などを、あれこ…

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90 「告白」湊かなえ (本屋大賞)

数日前に読み終わったが、読書感想を書く意欲があまり沸かなかった。どうしてこんな本に、4~5日もかけてしまったのだろう、と残念な思いがしていたからだ。「本屋大賞」をとったというから、相当の内容があると思ったのは勝手な思い込みで、「大賞」受賞作品といっても、いろいろあるようだ。 発明と工作の好きな中学生が、その趣味に昂じて、危険な器具を考案し、4歳の少女を驚かせようとし、気絶した少女を、共謀の少年…

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86 「おもかげ」浅田次郎

コロナ災禍で、籠り気味の毎日、気晴らしになるような本を読んでみようと思った。軽い本。それで、浅田次郎の「おもかげ」が、手元に買ってあったので、読み始めた。2017年の本だから、比較的新しい本である。 65歳で定年退職した男―竹脇正一が、送別会の日、帰路の途中、通勤電車内で倒れ、救急病院へ担ぎ込まれたところから始まる話である。 重苦しい内容になりそうで、本の選択を誤ったかと思った。ベッドに寝か…

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85  「神去なあなあ日常」三浦しをん 読書感想

三重県と奈良県の県境にある山奥の村の話である。神去山(かむさり)というのが、本当にあるのかどうか分からない。地図で見てみたが、この山は見当たらなかった。この山奥の山林で、林業に従事する山男たちの話である。 この地域には、3つ、特殊な言い方がある。 1、言葉の最後に、「…な」とつける特徴がある。「ふん、チェーンソーな」。 「…な」がつくと、穏やかな感じになる。 2つ目は、「…ねぃな!」という言葉…

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61  「観無量寿経」をひらく (釈徹宗) 読書メモ その1

〇前書き 「観無量寿経」、略して「観経」と言ったりもする。浄土宗、浄土真宗では、浄土教3部として、重視する経典である。 しかし、「観経」」は、インドに原典が無いため、他の経典と比べ、一段低く見られてきた。中国か、中央アジアで、まとめられた経典との見方が強い。加えて、親鸞が、そのように見ており、「無量寿経」を真の経典、「観無量寿経」と「阿弥陀経」を方便の書と、評価したせいでもあるようだ。だが、「…

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56 「帰郷」(浅田次郎) 読書感想

南方戦線からの復員兵と上野に立つ街娼の出会い。街娼の女―綾子は、男に声をかけられ、客だと思ったが、男は、「自分の話を聞いてくれ」と言った。 男は、マリアナ諸島テニアン島から帰還した復員兵だった。信州松本の庄屋の長男だったが、昭和19年動員令で、輸送船で、テニアン島に送られた。10日後、米軍の猛攻撃で、守備兵は、「玉砕」。8000名ほどが、「全滅」した。たまたま生き残ったこの男は、1年間近く、ジャ…

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47 糖尿病と炎症、センテナリアンと動物性たんぱく質

〇 糖尿病の人と、そうでない人との糞便検査をして、比較すると、腸内細菌の数は、同じくらいだったという。しかし、血液中の腸内細菌の数は、 糖尿病の人…28% 非糖尿病の人…4% だった、という。つまり、糖尿病の人は、腸から、血液中に細菌が漏れ出しているという。これを「腸もれ」と医者は言っている。 血液中の細菌は、白血球や抗体が、すぐ除去しようと戦い、炎症を起こす。しかし、「腸もれ」が、続くことで…

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46 腸内細菌と細胞の仕組みアレコレ

〇  人の細胞は、どのくらいの期間、生き続けるのか知らなかった。それが、この本で、皮膚は、30日くらい、骨は5ヵ月で、入れ代わることを知った。体内のたんぱく質は、ほぼ3ヵ月くらいで、全部置き換えられるらしい。ずいぶん新陳代謝が、激しく行われているのだと思った。赤血球は、秒単位でたくさん作られているが、同時に、同じくらい壊されているので増えすぎることは無いという。たんぱく質も、1日、70g前後を摂…

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「歎異抄」(全訳注 梅原猛) 読書感想(2の1)

 読み終えてホッとして、数日が経った。唯円が書いた部分は、それほどのページ数ではないが、その語句、解説、補注などの方が、圧倒的に多く、これを読み切るのに、かなり日数がかかってしまった。本文と、解説や注釈を見比べて読むから、時間もかかり、かつ、内容が豊富だったのかもしれない。それに加えて、700年以上前に書かれた本は、現代文と相当の相違があり、理解するのには、考えながら読まねばならなかった。 1…

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19 和食の危機と見直し、という話

 和食が、2013年、ユネスコの無形文化遺産に登録された。無形文化遺産に登録されるには、文化の多様性、人類の創造性を示し、国内で保護措置が取られていること。さらに多くの人の参加と同意を得ていること、という条件もついているが、文化遺産のように価値の有無については条件は付けられていない。 江戸から明治・大正・昭和・平成を経て、日本人の食生活が変化してきた。それを、食卓の変化で表すと、江戸時代~明治…

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13  「ゆく人なしに」 読書感想 (2の2)

 この本の後半は、太安万侶が、「古事記」を奉納してから、苦境に陥り、学問所でも、肩身の狭い思いをしていた様子を著わしている。そして、「古事記」とは別に、改めて正史が編纂されることとなった。それには、各地の氏族の由来、系統、地名、産物などの地誌が必要資料になるとして、「風土記」の作成を各国に依頼し、その編纂のため、太安万侶は、出雲に行くことを物部氏から依頼される。ここまでで、五分の四ほどのページに…

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「ゆく人なしに」 辻井 喬  読書感想(2の1)

 以前、この作家の本を読んだような気がしており、しかも、帯封に「古事記成立の謎を読解し、」とあったので、読み始めた。稗田阿礼の語る言葉を、太安万侶が、書き写すという場面から始まっていた。しかし、いささか、気持ち悪い感じがしたのは、稗田阿礼が、「おかま」のような男であり、5歳年上の太安万侶と良い仲になっているということであった。天武の勅命で、それまでの歴史を、正しく書き表す必要があるとして、始めら…

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6  「等伯」 読書感想 その2

今、「直木賞」受賞作の「等伯」を読んでいる。絵師長谷川等伯の話である。狩野永徳とほぼ同時代の絵師だということで、絵の特徴や流派のことが書いてあるのかと、買いはしたが、「積読」状態だった。ところが、読み始めてみると、面白くなり、断続的ではあったが、今、下巻の後半を過ぎ、残り100ページほどとなった。日本画の書き方についても、書かれているが、この書は、戦国時代に生きた絵師の生涯であり、信長・秀吉の全…

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80 「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」 白石一文 読書感想

面白い小説なら、それほど日数をかけなくとも読めるのだけれど、この本は、面白いのだが、随分日数がかかってしまった。週刊誌の編集長と贈賄の容疑を持たれた与党の有力議員、出版社内の内部抗争などを縦軸に、そこに派生する問題に、筆者がアレコレのコメントと資料を提供する横軸とが絡み合い、今まで読んだ小説とは異なった形式なので、考えながら読んだ。山本周五郎賞受賞作品だという。白石は、2010年には、「ほかなら…

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79 妙慶「執着から自由になるために」 読書感想(最終回)

その2では、妙慶尼僧の「執着から自由になるために」の読書感想から脱線して、自分の宗教観を述べることが多くなってしまいました。 改めて、本題に立ち返り、読書感想のまとめをし、これで最後にしたいと思います。 「執着から自由になるために」を読み、参考になることが沢山あった。そして、それは、どこか別のところで聞いたこともあるということもあった。人生を語る先達の言説は、洋の東西を問わず、似ているものもあ…

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内藤いづみ著「最高に幸せな生き方と死の迎え方」を読む

「最高に幸せな生き方と死の迎え方」 内藤いづみ著 オフィスエム 2009年6月6日発行 ー「ふじ内科クリニックの内藤と申します」 人間と向き合う仕事だから医師を目指した私は、そんな考えを誰に話すこともできず、孤独だった。 ホスピスは、  小さくてもいいから家庭にいるようにほっとして安らげることが大事なのだとも教えてくれた。 ボランテイアの一員としてそこに出入りするようになって、まず驚いたことは、…

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「ふるさと」(島崎藤村の童話)を読む

「ふるさと」(藤村の童話2) 島崎藤村著 筑摩書房 1979年7月20日発行 ー「スイ葉」青い木の葉の生で食べられるもの。  草では「いたどり」や「すいこぎ」が食べられましたが、あの「すいこぎ」の茎をとってきてお家で塩づけにして遊ぶこともありました。  おろかなお父さんは、いいことでもわるいことでもそれを自分でしてみた上でなければ、その意味をさとることができませんでした。そのかわり、一度こりたこ…