さんが書いた連載読書の日記一覧

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ハルノ宵子 著「隆明だもの」という本を読んだ

ハルノ宵子 著「隆明だもの」(りゅうめいだもの) 晶文社 2023/12 (表紙の宣伝文句↓) 戦後思想界の巨人と呼ばれる、父・吉本隆明 小説家の妹・吉本ばなな そして俳人であった母・吉本和子 いったい4人はどんな家族だったのか 吉本隆明といえば膨大な著作があり詩人・評論家などの枠に入りきらない人・・なんですが、 https://w.wiki/3HvL 私なんかはその名前を知っているくら…

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村上春樹が「小澤征爾さんと音楽について話をする」、という本を読んだ~マーラーについても

「小澤征爾さんと音楽について話をする」 小澤征爾/著 、村上春樹/著 新潮文庫2014年 という本を読みました。 (新潮社) https://www.shinchosha.co.jp/book/100166/preview/ 村上春樹が小澤征爾とひょんなことから知り合っていろいろ話しているうち、その内容がすごすぎるので村上がこれはちゃんと本にして残すべきだろう、と正式なインタビュー形式でま…

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オスカー・ワイルドの美しい本を読んだ

『手紙・絵画・写真でたどる オスカー・ワイルドの軌跡』 ジュリエット・ガーディナー著 宮崎かすみ訳(マール社 2023/10) というを読みました。 オスカー・ワイルド(1854~1900)といえば、 https://w.wiki/3dMA 『幸福な王子』 『ドリアン・グレイの肖像』 『サロメ』 『ウィンダミア卿夫人の扇』 『理想の夫』 などの小説や戯曲を書いた19世紀末の英国人というこ…

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シンデレラはどこへ行ったのか~少女小説とジェイン・エア

廣野由美子 著 「シンデレラはどこへ行ったのか~少女小説とジェイン・エア」(2023/9 岩波新書) https://www.iwanami.co.jp/book/b631514.html という本を読みました。 シャーロット・ブロンテの『ジェイン・エア』(1847)がこれまでのシンデレラ物語の約束ごとをひっくり返し、新しい女性像を創り出したこと。 https://w.wiki/…

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挿し絵入りの新訳 ヘミングウェイ「老人と海」 読みました

「老人と海」 The Old Man and the Sea (1952) >新訳でよみがえる、幻の挿し絵入り名作の復活! 著者:アーネスト・ヘミングウェイ 訳者:島村法夫 https://www.tkns-shobou.co.jp/books/view/538 小鳥遊(たか(鷹)なし)書房 (2023/5/25) (試し読み) https://www.tkns-shobou.c…

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カーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人』とソンドラ・ロックさん

>50年ぶりの新訳!村上春樹さんが「取り置き」していたカーソン・マッカラーズのデビュー作『心は孤独な狩人』文庫版が本日発売(2023年9月28日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001160.000047877.html というネットの記事を見つけたのですぐ書店へ・・ではなく図書館の蔵書検索したら文庫になる前の初出単行本(2020年)があったの…

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スーツケースにキャスターがつくまで、5000年もかかったのはなぜ?

「これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 ~ イノベーションとジェンダー」 カトリーン・キラス=マルサル 著 河出書房新社 2023年8月 という本を読みました。 https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/reviews/20231010-OYT8T50052/ 問 1. スーツケースにキャスターがつくまで、5000年もかかっ…

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新聞小説でおどろきの事実を知った! 昔の日本にはこんなものがあったのだ

今日はYouTubeのサムネイルみたいなタイトルにしました。 読読新聞の朝刊に、木内昇「惣十郎浮世始末」という連載小説がありまして、 江戸八丁堀の同心"服部惣十郎"とそれを取り巻く人々の話です。 ある放火殺人事件の捕り物帖なんですが、 有能・無能な部下たち(目明し)、奉行所内部の葛藤、母親や長屋の住人達、懇意で検視も任せている医師、など現代の推理・警察小説、古くはシャーロック・ホ…

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図書館で借りている3冊の本

図書館で借りている3冊の本が、いま私が興味のあることがらの三題噺みたいです。 1. 西村賢太 「蝙蝠か燕か」 (2023 文藝春秋) 2. 村上春樹 「更に、古くて素敵なクラシックレコードたち」 (2022 文藝春秋) 3. 高校生からのPython入門 (立山英利 2022 ジャムハウス) ------- 1. は、去年(2022年)の2月に急逝した私小説作家…

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井上荒野の新作「小説家の一日」と「白い象のような丘」

井上荒野(あれの)著「小説家の一日」(文藝春秋社2022/10)という本を読みました。 私はこの人のデビュー当時(1989)、あの井上光晴の娘なのか、というところから興味を持って読み始めましたが、すっかり荒野ワールドに引き込まれてしまい、ちょくちょく読んでいます。 今回新作が出たというので、かなり前に図書館に予約しておいたのが届きました。 10の短編小説からなっていて、それらの主人…

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映画会社の五社協定って・・・日活の映画製作再開と五社協定

NHK総合で2月4日(土)に、「大河ドラマが生まれた日~第一作「花の生涯」ができるまでのテレビマン奮闘記!」 というのを放映していました。 その中で当時の映画会社が「五社協定」というのを結んで、俳優が自由に他社の作品に出演できないようにしている、というのがありました。 私はたまたま、「戦後日本映画史:企業経営史からたどる」(井上雅雄 (著) 新曜社 2022/9)という本を読んで…

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ラディゲ・コクトー・三島由紀夫・檸檬水

サンデー毎日にサンデー俳句王と言うコラムがありまして先週(11月6日号)はそこに、 「十六で手にしたラディゲ檸檬水」 というのが俳句王に選ばれていました。 作者は石川県の70才の女性です。 毎週違った人が感想を書いていて、今週はやくみつるさんでした。 ラディゲときたら三島由紀夫、そしてその自決にまで発想が行くやくさんすごいです。 (要約)今から54年前(1968年)作…

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「初めて書籍を作った男~アルド・マヌーツィオの生涯」

「初めて書籍を作った男~アルド・マヌーツィオの生涯」 アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ 著 清水由貴子 訳 柏書房 2022/06/23 ISBN 9784760154609 という本を読みました。 今私たちが普通に読んでいる本の体裁は、ヴェネツィアのアルド・マヌーツィオという印刷業者が作ったそうです。 今から500年前(1500年~ころ)のことです。 ちなみにグーテンベル…

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高橋美代子著「末っ子」という子ども向けの本を読んだ

高橋美代子著「末っ子」 ジュニア・ライブラリー/大日本図書 1987年9月第一刷 図書館で偶然、高橋美代子著「末っ子」という本がこどもの本棚にあったので手に取ってみました。 3人きょうだいの末っ子だった少女の話のようです。 >下の昌樹とでさえ12、上の永(ひさし)とは18もちがう、ひょっこり生まれたひとり娘が病気ばかりしているのに、よくも1年生にあがるまで育ったものだという思い…

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日本人についての通説を検証してみる

前回までの私の日記では「日本人は集団主義」という通説が正しいか、という本を紹介しました。 高野陽太郎(著) 1.「集団主義」という錯覚―日本人論の思い違いとその由来(新曜社 2008) 2.日本人論の危険なあやまち 文化ステレオタイプの誘惑と罠 (ディスカヴァー携書 2019)(→写真) https://smcb.jp/diaries/8716370 https://smcb.jp/diari…

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対応バイアスと文化ステレオタイプのもたらす厄災(続き)

前回の私の日記(2/17)で、 https://smcb.jp/diaries/8716370 人は性格や国民性からではなく、状況で行動する。という高野陽太郎教授の本のことを書きました。 これだけなら面白い話として終わってしまうのですが、そこは大学の先生のことですからもっと深い話があります。 面白いと言ってはいられなくなります。 それは「対応バイアスと文化ステレオタイプのもたらす厄災」で…

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日本人は集団主義で欧米人は個人主義というのは間違い。人は国民性や性格ではなく「状況」に基づいて行動する。

私は先日テレビで、BS231ch「放送大学アーカイブス・知の扉 認知心理学」というのを観ました。 その中で高野陽太郎という心理学の教授が、日本人は集団主義的か?という講義をしていました。 「日本人は集団主義的で欧米人は個人主義的だ。という通説は間違い」であることを、数々のデータや比較研究や実験結果を用いて証明していました。 もっと詳しく知りたくなったので先生の著書を2冊図書館で借りてきました…