連載:俳句帳

五月の俳句帳(121)令和五年5月31日

1)坪庭の前の座卓や新茶の香

2)箱根八里馬鈴(ばれい)聴く初夏街道図

3)釜飯や浅蜊(あさり)たかんな友集う

4)草笛に寄り添う調べ川瀬音

5)清流や萌ゆる水草青葉風

6)並木雨夜目(よめ)に灯す黄(き)金糸梅

7)群れ盛る灯心岸辺火を灯す  灯心=糸とんぼ

8)森奥にゆらりマントの黒揚羽

9)川杭に残像を遺す青翡翠

10)老鶯の声を合図に朝読経

11)蹄鉄(ていてつ)の音響く朝ダービー来

12)黒揚羽ぺたんと花弁蜜を吸い

13)まくなぎを狙うかわほり川夕べ 
まくなぎ=ゆすり蚊