「松井今朝子」の日記一覧

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著者別インデックス:国内(松井今朝子)

1.東洲しゃらくさし (1997.01)   https://smcb.jp/diaries/4432729 2.吉原手引草 (2007.03)   https://smcb.jp/diaries/4012971 3.料理通異聞 (2016.09)   https://smcb.jp/diaries/7253267 4.芙蓉の干城 (2018.12)   https://smcb.jp/diar…

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舞台で命を落とした歌舞伎役者

 松井今朝子の「江戸の夢びらき」を読了した。著者は直木賞作家であり、小説家としては時代小説をテリトリーとしているが、歌舞伎の脚本家、演出家、評論家としての側面も持っている。本書は、江戸歌舞伎における荒事の開祖と言われる不世出の天才初代市川團十郎の生涯を描いた時代小説である。なお、本書は團十郎の妻の恵以の視点で描かれている。  物語は寛文7年(1667年)に始まる。元北条出羽守家の家臣の間宮十兵衛…

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「今朝子の晩ご飯」松井今朝子・著

 松井今朝子さんの 10年くらい前に出版されたエッセイ集で、全5巻あります。ブログ「今朝子の晩ご飯」の日記を 6か月ごとに文庫オリジナルとしてまとめたものです。 松井さんは 亀を飼っていらして乗馬もなさっていらっしゃるので馬の話とか 面白いです、また 政治や演劇の話もなかなか面白いです。 以前 全巻読んだのですが古さは全然感じないし 寝る前に読む本として最適な気がして 又、読み直しています。 …

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皇国の干城

 松井今朝子の「芙蓉の干城(たて)」を読了した。著者は直木賞作家であり、小説家としては時代小説をテリトリーとしているが、歌舞伎の脚本家、演出家、評論家としての側面も持っている。本書は、昭和初期を舞台とし、歌舞伎の殿堂である木挽座の周辺で起こった連続殺人事件を描いたミステリーである。  物語の舞台は昭和八年(1933年)の東京である。前年の昭和七年には満州国成立、五・一五事件や 血盟団事件の発生等…

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松井今朝子 の 奴の小万と呼ばれた女

★3.5 大坂で奇人変人として扱われた三好正慶尼(実在)の半生の物語。 大坂の豪商・木津屋に生まれたお雪は他の娘とはちょっと違った。美貌ながら大柄な娘、柔の道場に通い、その侠客武勇伝が広まって人形浄瑠璃、更には歌舞伎の演目にまでされてしまう。 柔や古典、漢詩、絵画などに興味を示し、大家のしがらみに反発し続ける。 物語全体は30歳(1758年)頃までの前半生(享年は78歳)を描いており、前半…

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一両二分のお茶漬け

 松井今朝子の「料理通異聞」を読了した。著者は直木賞作家で、小説家としては時代小説をテリトリーとしているが、脚本家、演出家、評論家としての側面も持っている。本書は、江戸時代に名料亭「八百善」を造り上げた福田屋善四郎の生涯を描いたものである。  物語は天明2年(1782年)に始まる。主人公の善四郎は、その前身は八百屋であるため、精進料理が売り物の、浅草新鳥越町の仕出し屋福田屋の息子である。しかし、…

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松井今朝子の「料理通異聞」。

★3.3 悪い癖で作者のあとがきの方から先に読んでしまった。作者は曾祖父の代から続く京都の割烹料理屋「川上」の長女として祇園にに生まれ育ったとある。 京と江戸では食文化も違ってはおろうが、何やら奥深い世界ではある。 浅草新鳥越町の寺町相手の精進料理を専門とする福田屋の息子・善四郎。お斎の料理だけに飽き足らなくなった善四郎は、吉原の客などにも饗する料理をと、改築して「八百善」を開く。 料理は…

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松井今朝子の「縁は異なもの 麹町常楽庵 月並の記2」。

★3.5 シリーズ2作目。 北町同心・間宮仁八郎にとって薬種問屋・但馬屋の娘・おきしは、は気になる存在から「一緒にいて退屈しない女」に変わりつつある。行遅れの20歳になってしまったが・・・。 今回、小田切奉行と庵主・志乃の関係が語られる。志乃は旗本千草家の娘で建部伊織に嫁ぐが、夫と息子を失って離縁となった後、大奥勤めが長きに渡る。 建部は西の丸御書院番で小田切の同僚、志乃を見初めた小田切の…

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江戸歌舞伎何するものぞ

松井今朝子の「東洲しゃらくさし」を読了した。著者は直木賞作家で、本書がデビュー作である。  時代は寛政年間、上方の人気狂言作者並木五兵衛(後の五瓶)は、。三百両という破格の支度金を用意され、江戸(=東洲)進出を決意する。当時の江戸歌舞伎は、上方歌舞伎と比較して大道具の工夫が足りないと感じていた五兵衛は、先乗りとして、道具方大工のたこ十こと十次と、大道具彩色方の彦三を江戸に送り込むことにした。彦三…

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吉原の楽しみ方マニュアル

松井今朝子の「吉原手引草」を読了した。本書は、当代きっての花魁であった舞鶴屋の葛城の失踪に纏わる謎について、正体不明の「客」が、吉原に係わる16人(最終章の「客」自身の証言等を含めると18人)の関係者にインタビューする形で進行する。なお、本書は、第137回直木賞受賞作品である。  本書は全て一人称で書かれており、「客」の発した言葉は、最終章まで、直接的には書かれていない。最初の数章では、関係者は…