「歳時記入門」の日記一覧

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【歳時記入門】俳句のテキスト

6/27 【歳時記入門】俳句のテキスト 釣鐘草後につけたる名なるべし 越人 蟻のより釣鐘草のうつぶせに 白雄 おさなくて螢袋のなかに栖む 野澤節子 雨落ちんとす釣鐘草はうなだれたり 種田山頭火 風吹くや釣鐘動く花の形 正岡子規 * 蛍袋/ほたるぶくろ/釣鐘草/提灯花/風鈴草・・・ 山野に見られるキキョウ科の多年草。北海道西南部から 九州に分布する。花は六、七月ごろに咲き、白色と淡紅 紫色があり、…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

6/26 【歳時記入門】俳句のテキスト 空梅雨の草吹く風に蝶白し 高橋淡路女 百姓に泣けとばかりや旱梅雨 石塚友二 どちらかと言へば空梅雨なりしこと 藤木呂九艸 から入梅の舟引人も荷にまけな    宋屋 *  空梅雨/涸梅雨/旱梅雨/照り梅雨・・・ 梅雨に入っても晴天が続き、ほとんど雨の降らないこと。 これは梅雨前線の位置がはるか南方の海上にあるか、早 く北上してしまうことによって起こる。長引く…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

6/24 【歳時記入門】俳句のテキスト こんこんと合歓はねむれり門火焚く 目迫秩父 そよ風の何ほのめかす合歓の花 高澤良一 ひとり居の眠気しきりや合歓の花 西山冨美子 花合歓の下のままごと夕餉まで 小松絢子 みづからの葉風にねむり合歓くるる 川島彷徨子 合歓かげに舟の煙りや山中湖 飯田蛇笏 堰の水豊かに落つる合歓の花 皿井旭川 湯煙の消えてほのかや合歓の花 高浜虚子 *  草合歓(くさねむ)・・…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

6/23 【歳時記入門】俳句のテキスト  梅雨晴の風に戻りし柳哉 梅雨晴 正岡子規 荒梅雨にぶっくさ云ひても始まらぬ 高澤良一 だんご虫愛づる姫君梅雨の庭(孫美雨) 高澤良一 三界や梅雨の襖のふくらめり 寺井谷子 * 梅雨(つゆ)/黴雨/梅の雨・・・ 六月ごろ、ひと月にわたって降りつづく長雨。さみだれ のこと。ちょうど梅の実の熟れるころなので梅雨ともい う。梅雨の季節をさすこともある。 【俳句】…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

6/22 【歳時記入門】俳句のテキスト 噴水につばへて遊ぶ蜻蜒かな 正岡子規 噴水に濡れつづけをる浮葉かな 上野泰 噴水の水かたまつて落ちにけり 清崎敏郎 噴水にはらわたの無き明るさよ 橋間石 *  噴水/吹上げ/噴泉・・・ 機械的に水を噴き上げ、水が落ちるときのさまざまな形 を楽しむ仕掛け。公園などに多く見られる。近くによる としぶきを浴びて涼やか。日が当たれば虹が浮かび出る 【俳句】貴方の俳…

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6/20 【歳時記入門】俳句のテキスト 夕立のあと柚の薫る日陰かな 北枝 夕立や草葉を掴むむら雀 蕪村 夕立が始まる海のはずれかな  一茶 夕立の鞍に着せたる合羽かな 森鴎外 わだつみのゆふばえとほき夕立かな 日野草城 本願寺の屋根を襲へる夕立かな 日野草城 翠巒を降り消す夕立襲ひ来し (すいらん) 杉田久女 大空を鳥流れ飛ぶ夕立かな 長谷川櫂 夕立に忘れられたる玩具かな 高田正子 夕立のあとも…

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6/19 【歳時記入門】俳句のテキスト 今の夜の竹を育てつ苔の花 才磨 岩角や火縄すり消す苔の花 太祇 踟幮する沓に音なし苔の花 蕪村 絶々に温泉の古道や苔の花 蓼太 水かけて明るくしたり苔の花 乙二 松かさのころびかかるや苔の花 羅川 苔咲くや親にわかれて二十年 鬼城 古寺や門も戸ひらも苔の花 正岡子規 苔の花さくや地蔵の首の跡 正岡子規 *  苔の花 /花苔・・・ 梅雨のころ、苔に咲く白や紫…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

6/18 【歳時記入門】俳句のテキスト 青蔦や住まはぬままの異人館 岡井/美津 青蔦や窓に女と黒猫と 柳田芽衣 岩かけて青蔦馬頭観世音 井上史葉 青蔦や宿場なごりの土戸窓 松本美簾 青蔦にほのぼの赤き杉の幹 高濱虚子 青蔦に絡まれゐたる理髪館 澁川/公子 *  青蔦(あおつた、あをつた)/蔦茂る/蔦青葉 /蔦青し/夏蔦・・・ 蔦はブドウ科の落葉蔓性の木で、山野に自生する。大木 や崖または家の壁な…

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6/17 【歳時記入門】俳句のテキスト かたつぶり角ふりわけよ須磨明石 芭蕉 白露や角に目を持つかたつぶり 嵐雪 ころころと笹こけ落ちし蝸牛 杉風 かたつぶりけさとも同じあり所 召波 夕月や大肌ぬいでかたつむり 一茶 親と見え子と見ゆるありかたつぶり 太祗 木に草に雨明るしや蝸牛 長谷川櫂 *  蝸牛/かたつぶり/ででむし/でんでんむし /まいまい・・・ 渦巻き状の薄い殻、伸縮自在の柔らかな体。…

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6/16 【歳時記入門】俳句のテキスト うちひらく傘の匂や夏の雨 日野草城 うちひらく傘の匂や夏の雨 日野草城 夏の雨降らせし雲の切れはじむ 稲畑汀子 *  夏の雨/夏雨/緑雨/青時雨・・・ 夏の雨の代表的なものは梅雨、夕立など。これら以外の 夏の雨の総称。日照り続きの多い夏に降る雨は涼しさを もたらし、恵みの雨となることが多い。 【俳句】貴方の俳句ノートとしてコメント欄を解放中! 浦風に空の気…

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6/15 【歳時記入門】俳句のテキスト 風の香も南に近し最上川 芭 蕉 名を呼んであやす乳呑み子風薫る 静 良夜 そよぐ風薫りたつ日の庭の木々 高木晴子 はまゆふのまだ咲かぬ風薫りけり 久保田万太郎 花びらに風薫りては散らんとす 夏目漱石 まつさをな風薫らせて瀧野川 筑紫磐井 一帆や薫風岬飛ばんとす 東洋城千句 一様にゆれて梢や風薫る 田ノ口 新 古杉の風薫りけり奥の院 正岡子規 *  風薫る/…

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6/14 【歳時記入門】俳句のテキスト  降る音や耳もすう成る梅の雨 芭蕉 折釘の笠に雫や梅雨の中 可幸 焚火してもてなされたる入梅哉 白雄 梅雨晴れや蜩鳴くと書く日記 正岡子規 樹も草もしづかにて梅雨はじまりぬ 日野草城 梅雨荒し泰山木もゆさゆさと 日野草城 梅雨の傘たためば水の抜け落つる 長谷川櫂 * 梅雨/梅雨(ばいう)/黴雨/梅の雨/梅霖/青梅雨/荒梅雨 /梅雨じめり/梅雨前線/梅雨時/…

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6/13 【歳時記入門】俳句のテキスト 温室にバナナ実れる野分かな 岸本尚毅 バナナむく吾れ台湾に兵たりし 鈴木栄一 バナナ剥く夏の月夜に皮すてぬ 芥川龍之介 朝市の涼一とくるみバナナの葉 高澤良一 *  バナナ・・・ 熱帯地方で栽培され日本に輸出される。大型多年草で 叢生した葉の中央から長い花茎を出し多数の淡黄色の 花をつけ結実する。古くはメロン同様に高価なもので あったが近年ではスーパマーケ…

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6/12 【歳時記入門】俳句のテキスト 陽花の雨信じゐる毬の数 小林希世子 紫陽花は梅雨が似合うと咲きにけり 作者不詳 紫陽花の碧衣まといて咲き初める 綾 紫陽花や帰るさの目の通ひ妻 石田波郷 大輪の紫陽花に葉の大きさよ 稲畑汀子 傘の色一列つづく濃紫陽花 稲畑汀子 *  紫陽花/かたしろぐさ/四葩の花/七変化/刺繍花 /瓊花・・・ 日本の梅雨を代表する花。花びらのような四枚の萼の 中心に粒状の…

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6/11 【歳時記入門】俳句のテキスト 青蛙ひとつ紛るる笹ひと葉 石川桂郎 あら草や旧址一壺の青蛙 角川源義 青蛙鳴や水田のふかみどり 句空 村雨に出づるや須磨のあま蛙 信徳 雨蛙芭蕉にのりてそよぎけり 其角 つけ木屋の手なら足なら雨蛙 其角 火を打てば軒に鳴合ふ雨蛙 丈草 鳴いて知りぬ石蕗の若葉の雨蛙 素丸 夕空のしづか青蛙呼びかはすなり 種田山頭火 *  雨蛙/枝蛙・・・ 体長四センチく…

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6/10 【歳時記入門】俳句のテキスト 六月の帽子夏めくはひとのこと 米沢吾亦紅 夏めきて人顔見ゆるゆふべかな 成美 夏めくや花鬼灯に朝の雨   中村楽天 夏めくや合わせ鏡に走る虹  久米三汀 夏めくや庭を貫く滑川 松本たかし いしぶみの火の一字より夏兆す 大岳水一路 夏めくとひそかなものに鹿の脚 長谷川 櫂 *  夏めく/なつめく/夏きざす・・・ 春の花々が終わって緑の世界にかわり、初夏…

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6/9 【歳時記入門】俳句のテキスト 南国の五月はたのし花朱欒 杉田久女 天草の海は平に花朱欒 有馬朗人 花ざぼん匂ふ夜風を窓に入れ 田代八重子 *  ざぼんの花/文旦の花/花朱欒・・・ ミカン科ミカン属の柑橘類。九州南部などで栽培され、 高さは五メートルにもなる。初夏、葉腋に白い五弁の 花を総状に咲かせる。果実は柑橘類最大で直径十五 センチから二十五センチほどにもなる。  【俳句】貴方の俳句ノ…

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6/8 【歳時記入門】俳句のテキスト 思ひ出す木曽や四月の桜狩り 芭蕉 はやり来る羽織みじかき卯月かな 北枝 膳まはり青みの見ゆる卯月かな 浪化 巫女町によききぬすます卯月かな 蕪村 塵ほどに鳶舞ひ上る卯月かな 梅室 *  卯月/うづき/卯の花月/花残月/夏初月・・・ 陰暦四月の異名、卯の花が咲く頃。卯の花月。卯浪とは 風に揺れる卯の花を浪に連想したもので、やはり夏の季 語。 【俳句】貴方の俳句…

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6/7 【歳時記入門】俳句のテキスト うれしきは葉がくれ梅の一つかな 杜国 実の落ちる夜の音奇なり軒の梅 太祇 青梅に眉あつめたる美人哉 蕪村 青梅に手をかけて寝る蛙かな  一茶 青梅に塩のしむ夜か蟾の声 梅室 青梅や空しき籠に雨の糸 夏目漱石 青梅や小房ながら清浄に 大谷句佛 摘みためて石の重みや梅の籠 長谷川櫂  *  青梅/梅の実/実梅/梅干/梅酒・・・ 熟さない梅の実をいう。梅は梅雨のこ…

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6/6 【歳時記入門】俳句のテキスト 葛切や佳き茶をのこす壺ありて 水原秋櫻子 かつしかは葛餅どころ葭雀 水原秋櫻子 白のれん葛切茶屋と知られけり 石田勝彦 葛切や念佛寺へ坂がかり 石田勝彦 *  葛餅/くずもち・・・ 葛粉を熱湯で練り、型に入れて固めた菓子。冷やして三 角に切り、蜜と黄粉をかけて食べる。ひんやり、ぷりぷ りした口当たりが魅力。古くから亀戸天神や川崎大師な どの門前でも売られてき…