梅花8態(大宮公園)

思いのまま

壺の中夜は黒髪冷えにけり(鷲谷七菜子)

先輩の家の床の間に小ぶりの鉄灰色の壺に梅の花が無造作に活けられていた。
先輩曰く「投げ入れだってさ。ポンとね」
先輩は短髪、奥さんの髪は長かった。「全くうちの人はこういうことに全く興味がない上にバカのことを言うんだから。この人との結婚は失敗だったような気が最近強くなっているのよ」この梅が「思いのまま」だと奥さんから教えてもらった。
まだ離婚をしないのは奥さんが諦めたのか、先輩が一念発起華道に目覚めたのか、その後聞いていない。
髪の冷えなど男、いや私には理解できない。この時季だと湯上りに濡れた髪は冷えるだろうな。だから何だ、と言ってしまえばハイそれまでよ。先輩がこのように奥さんにそう言ったとしたら「ジ・エンド」であろう。
この句の春情を味わいたい、などと知ったかぶりをして。

コメント