西光寺(小川町)のカタクリと桜を訪れて

池畔の桜

花冷えて身にまとひつつ別れ来し(上村占魚)

桜の咲くころの急に冷え込みを花冷えという。桜冷えともいうそうだ。季語にもなっている。
桜は心を浮き立たせることもあるし時には不安を掻き立てることもある。花冷えの句に多いのが別れの予感、決意が多い。
ここ数日冷え込んでいる。熱はたいしたことはないが喉に違和感と多少のだるさがあり、ここしばらく経験をしなかった風邪の症状。寝込むほどのことはないが家の中でごろごろしていた。ソファでだらしなく座っているうち花冷えだからかなと思っていたら昔のことを思い出した。
ひょんなことからご縁ができた老舗の蕎麦屋の女将が話してくれたこと。
料亭の女将が一人の若手官僚を陰で支え物心お両面で応援して数十年、官僚は順調に昇進したが最後の仕事が難題だった。このことは外の私でも十分理解できた難題。それでもどうにか終結し、職を辞した、新聞で見た。蕎麦屋の女将が彼女にこう言ったそうだ「あんたね、あれだけ尽くしてきたんだから退職金の半分ぐらいは貰ってもいいじゃない、って。そうしたら彼女は「私はね、あの人に賭けたのよ。あの人がどこまで偉くなるか。それを一緒に見せてもらったからそれで十分!」ですって。私にはできないわ」
ちょうど女将のおごりで天ぷらをごちそうになっているときだった。「けんけんさんが呑めたらねぇ。こんな花冷えの時にコーラを飲みながらじゃあ色気も何もありゃしない」
ノンアルコールビールでもあれば多少違ったかもしれなかったかな。

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