西光寺(小川町)のカタクリと桜を訪れて

堅香子群生

もののふの 八十娘子(やそおとめ)らが 汲み乱(まが)ふ
寺井の上の 堅香子の花(万葉集巻19 大伴家持)

万葉集にはカタクリの歌は子に一首だけ。「堅香子(カタカゴ)」がカタクリのこと。
花の形がユリに似ているところから「片子百合」(カタコユリ)になり、真中の「コユ」が「ク」につまって「カタクリ」になったともいわれている。
それまでの冬の寒さが過ぎ、若い女性たちが井戸の周りに集まって暖かくなった季節の中で賑やかにおしゃべりをしているのは何と美しいんだろうといった意味だろう。
私が不思議に思ったのは「なんで「もののふ」が「八十娘子」の枕詞なのか」だった。調べてみると私に知っているもののふ=武士、武辺は平安時代に入ってから。万葉の時代は朝廷には職掌ごとに多くの氏族が奉仕していたので、それらの総称として「もののふ(物部)」という言葉が用いられた。さらに氏族が多かったことから八十(やそ=数が多い意)に掛かる枕詞となったと。

コメント