越辺川(越生)春の花

川辺のシャガ

射干(シャガ)の咲く川岸に風立ちぬ(當麻幸子)

山間の寺を訪ねると射干とこの時季出会うことが多い。
正岡子規が「その辺はなんだかしめっぽい処で薄暗いような感じがしている処であったが、そのしめっぽい処に菖や著莪がぐちゃぐちゃと咲いているということが・・・」(初夢)と書いているように薄暗いそして湿気の多いところを好んで群生している。
ここ龍穏寺の総門から山門への参道はだらだら坂が越辺川に沿って登っていく。その途中、途中の岸辺に射干が咲いている。両脇が樹林に覆われ陽射しが少ない。子規は「ぐちゃぐちゃ」と言っているが、どうして射干の白に薄紫が縁取るような花弁の並ぶ様子は白地の浴衣を着こなした芸者衆の総見を見るような艶めかしさを覚えるのだが。

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