秋の高幡不動 ー紅葉と黄葉ー (コミュのオフ会で)

映る公孫樹

妻子率(ゐ)て公孫樹のもみじ仰ぐかな過去世・来世にこの妻子なく(高野公彦)

基壇に聳立している五重塔と対峙するように1本の大イチョウもまた黙然と立っている。
雲一つない澄んだ青空に塔の相輪は黄金に輝き、銀杏もまた沈金の美しさを漂わせて神々しい、
実はならない。ただただ黄葉を地に落とすのみ。沈金の絨毯を敷いている。
1本のイチョウというと頭に浮かべるのは柳美里さんの小説「JR上野駅公園口」
改札を出ると正面のイチョウ。主人公は日銭稼ぎに銀杏を拾う。四季など忘れて暮らしているのに、光の使者のようなイチョウの黄葉には心を奪われる。
高野は家族と一緒にイチョウを見上げた。こうして皆で見上げているが、それは今だけで過去そして未来では自分ひとりで見上げている。
イチョウは長寿。樹齢1200年というのもあると聞く。人間は何度も生まれ変わると。それをイチョウはただ見守っている。
「仲間率て公孫樹のもみじ仰ぐかな過去世・来世に仲間なく」か。

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