神輿十夜 美女一夜(神田祭・三社祭)

美女一夜(三社祭)

たたずみて 道に迷っているときに 右にしようか左にしようか
右は恋路の本街道 左は義理と人情の裏街道 (さのさ)

神輿が出払った後の浅草神社の境内の舞台では浅草芸者の二人が小唄振りを。
司会者が言う「浅草芸者は五芸芸者とも言われます。踊り、三味線、お茶お花そしてお客様に喜んでいただく話芸と・・・」
踊りを見ながらふと思い出す。30代になり立てだったと思う。取引先の社長が「深川へ行こう」と誘われ料亭へ。それほど広い座敷ではなかったが二人の芸者さんがそれぞれに付いてくれた。酒宴たけなわ、といっても下戸の身、最初のおちょこ数杯でいい機嫌。社長の唄に手拍子、拍手を送りながら箸を動かすことに専念。「おい、けんけんさんも唄えよ」「いえいえ私は不調法で」「1つぐらい歌えるだろ」姐さんも調子に乗って「そうよ、そうよ」となれば「一節だけ、さのさで」「ほう、若いのにそんなのを知っているのか」居ずまいを正して。姉さんが三味線の糸巻を掌でいじりながら「これでいいかしら」
唸る、吠える・・・とりあえず「あら、お上手ね。新しいさのさね。今度どこかのお座敷で唄ってみようかしら」以降、もう一曲、という誘いは無かった。
舞台の踊りが終わって見物客の拍手が響いた。

※日記「神田・浅草散歩」を投稿しました。お時間があったらお読みください。
https://smcb.jp/diaries/9061924

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