紫陽花七彩(妻沼・能護寺)

雨に咲く花

「別れた人を 想えば悲し 呼んでみたとて 遠い空
 雨に打たれて 咲いている 花がわたしの 恋かしら」

村上龍の小説を初めて手にした。「オールド・テロリスト」という題に惹かれて。
3年ほど前にイギリスの作家、ローレンス・オズボーンが老探偵を主人公にした「ただの眠りを」を読んで以来、自身の年齢に近い主人公が活躍する小説を作家に関係なく手に取っている。
その「オールド・テロリスト」の中に「雨に咲く花」が登場するのだ。
「監督はアラン・パーカーで第二次大戦で日系移民全員が収容所に入れられた悲劇がモチーフの映画らしい。「雨に咲く花」はそのテーマソングなのだそうだ」この映画は1990年に上映された「愛と悲しみの旅路」という映画だ。
1960年、今から63年前になる。高校生時代、カルピスの味を思わせる声で歌った井上ひろしと重なるような思い出がこの小説から浮かび上がるとは予想だにしなかった。
小雨の中の紫陽花を見かけたときこの唄が思わず口元に浮かんだ。
「およばぬことと諦めました だけど恋しいあのひとよ・・・」
歯の間から息を漏らしながら。雨に咲く花はやはり紫陽花だなと。

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