大悲願寺の萩と彼岸花(コミュ・オフ会)

白萩の径

白萩に白萩こぼるるひるつかた遠くまで陽が照り追憶に似る。 河野裕子

花が終わる時、桜は散るという。椿は落ちるという。そして萩はこぼれるという。
こぼれ始めると径が白繍の絨毯を敷いたようになる。だが今年は違った。大悲願寺にいた植木職人の親父さんが言う「今年はだめだね。この暑さと雨が少なったのが祟ったな」
戦後の代表的歌人河野裕子は2010年、乳がんのため亡くなった。享年64歳、若すぎる死だ。歌人であり細胞生物学者の夫、永田和宏氏は言う「覚えてくれている人がいる限り、生きているという気がしますね」
きっと萩の径の奥で微笑んでいるかもしれない。
「たとえば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらって行ってくれぬか」と。

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