飯能・能仁寺の紅葉

和而不染

「子曰 君子和而不同 小人同而不和」(論語子路篇)

鬼籍に入られたのは8年ほど前になる。東京帝大を卒業した後、当時の大蔵省に入省。エリート官僚として出世の階段を順調に上った。そして政界に転身。衆議院選挙で初当選。しかし3年後の総選挙で落選してしまった。落選前の議員の時にある人の紹介でお会いした。
落選の見舞いにしばらくして訪ねた。暇そうだった。私はその人の「国家観が好きだった」
「なんで選挙民は僕の考え方が分かってくれないんだろうね。」嘆息交じりにこう言った。「先生はどぶ板選挙をしないからですよ」「僕だって選挙民と握手ぐらいしてきたよ」「先生は握手するとき白い手袋をなさっているでしょ?素手で力を込めて相手の目を見てするんですよ」これは当時自民党の重鎮、金丸信の私設秘書から聞いたことだった。
参議院選挙に鞍替えして当選。2期12年勤めて政界を引退している。
参議院議員になって暫くして秘書から渡したいものがるとの連絡。
先生から、と渡されたのが色紙だった。そこには達筆とは言えないが「和而不同」が。いかにも先生らしいなと思いながら頂戴してきた。
この写真を見ながらそんなことを思い出した。
きっと天上から「君のお陰じゃないからね。私の政策が分かってもらえたからだよ」
本葺瓦屋根と紅葉を見ながら一人の政治家を思い出した。
「和而不染」だな・・・。

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