「モーツァルト」の日記一覧

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名ピアニストポリーニの訃報に接して

朝刊で、ポリーニの訃報に接した。驚きよりも悲しみが沸き上がった。 音楽を聴き始めてから、最も多く聴いたピアニストはポリーニであっただろう。おそらく最初に聴いたポリーニの演奏はこのLPであったはずだ。2017年12月以来の鑑賞だ。 ピアノ協奏曲第23番。 何度聴いたか知れないLP。しかし、聴くたびに新しい発見とこの音楽に接する喜びがある。ベームの指揮は絶妙のテンポであり、ポリーニのピアノは一音たり…

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モーツァルトの ディヴェルティメント変ホ長調K.563 他をグリュミオーのヴァイオリンで聴く

2021年5月以来の鑑賞。ディヴェルティメント変ホ長調K.563。ディヴェルティメントと名付けられているが、実質は弦楽三重奏。「モーツァルトのいる部屋」(井上太郎 著 河出書房新社)の中で著者が絶賛していた。 第1楽章の主題は3つの楽器のユニゾンで開始されるが、大変い印象深いものだ。前述の本には譜例も掲載されていた。 続くアダージョはしっとりとした味わいがある。グリュミオーのヴァイオリンの美しさ…

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モーツァルトの アイネ・クライネ・ナハトムジーク ・「コジ・ファン・トゥッテ」序曲 他をワルター指揮のLPで聴く

2018年11月以来の鑑賞。 このLPには録音年月日のデータが記載されていない。インターネットで調べて知ることができたのも随分前になる。 アイネ・クライネ・ナハトムジーク。誰でもが一度は聞いたことがあると思われる第1楽章。自身は第2楽章のロマンツェ・アンダンテが好きだ。フルートとハープのための協奏曲の緩徐楽章をはじめ、モーツァルトのあらゆる緩徐楽章は天上の音楽のようだが、ここでもその例に漏れない…

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モーツァルトの ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 ・2つのヴァイオリのためのコンチェルトーネ

2018年12月以来の鑑賞。 独奏楽器として最初に現れるのはヴァイオリン。それにしても不思議な曲だ。モーツァルトはフルートをはじめ、クラリネット、ファゴット、オーボエ、金管ではホルン協奏曲を残している。またフルートとハープのための協奏曲も。弦楽器を同時に二つ独奏楽器としたのは、この2曲の他に知らない。なぜ、ヴァイオリンとヴィオラでなければならなかったのだろうか。しばらくすると転調があって、ヴァイ…

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モーツァルトの ヴァイオリン協奏曲第1番・2番・ ロンドをカントロフのヴァイオリンで聴く

2018年12月以来の鑑賞。 ヴァイオリン協奏曲第1番。 第4番の開始にも似た幸福な気分に満ちた音楽だ。ここでのカントロフも軽やかながら芯の強い、そして軸のぶれない演奏を展開する。音色は暖色系だ。転調による表情の移ろいにも趣がある。 第2楽章はアダージョ。おそらくそれほど規模の大きくないオーケストラだろう。安定感と豊かさ併せ持つ響きは、カントロフのヴァイオリンとの融合に潤いがある。加えてカントロ…

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モーツァルトの ヴァイオリン協奏曲第4番他をカントロフのヴァイオリンで聴く

2018年12月以来の鑑賞。 ヴァイオリン協奏曲第4番。 輝かしく祝祭的な気分による曲の開始に続く華やかなカントロフのヴァイオリンの響きは大きな喜びと幸福を想起させる。カントロフのヴァイオリンの響きは3番と5番に優るとも劣らないほどの美しさを見せ、透明感も備えもつ。こうした音楽を聴いていると、日常の悩みなどが浄化される思いを抱く。楽章の終わりではカントロフの確かな技巧にも触れることができる。…

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モーツァルト のヴァイオリン協奏曲第5番&第3番 をカントロフのヴァイオリンで聴く

2018年12月以来の鑑賞。 ジャケットを見ると、ヴァイオリンとオーケストラのための作品全集1とある。このCDはおそらく愛読していた月刊誌の推薦盤だったことが購入に結びついたのだろう。 5番と3番の組み合わせはパールマンのヴァイオリンによるLPでも聴いている。また、オイストラフのヴァイオリンによるCDでも聴いている。実に久しぶりに手に取った。 カントロフのヴァイオリンの響きはパールマンやオ…

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モーツァルトの 歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」のDVDを視聴する

2017年7月以来の視聴。 映像では、ムーティ指揮のミラノ・スカラ座のLD、アーノン・クール指揮のチューリッヒ歌劇場におけるDVD、CDではクレンペラー指揮のものを鑑賞している。 ムーティーの演奏ではフィオルディリージを演唱したダニエラ・デッシー、アーノン・クール指揮のDVDでは同じくバルトリ、そして、デスピーナのアグネス・バルツアが忘れ難い。 クレンペラーの演奏では、フィオルディリージを…

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モーツァルト の交響曲第38番「プラーハ」と 第39番をワルター指揮のLPで聴く

2021年12月以来の鑑賞。 先日に続き2枚目を聴く。 交響曲第38番「プラーハ」。 第1楽章の開始のアダージョは、歌劇「ドン・ジョヴァンニ」を思い起こさせる。主部はアレグロ。音楽自体に前進性が内包されていて、ワルターの指揮はそうした本質を捉えてのものだろう。ソナタ形式の様式美も感じる。 第2楽章はアンダンテ。フルート、オーボエ、ファゴットの木管楽器群の響きが美しい。 最終楽章は、プレ…

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モーツァルトの 交響曲第35番「ハフナー」・ 第36番「リンツ」をワルター指揮のLPで聴く

2021年11月以来の鑑賞。 ジャケットに記載されたカタログ番号からして、1970年代の後半に廉価盤の2枚組として発売されたのだろう。 交響曲第35番「ハフナー」。 愛聴盤はもちろんワルター。第1楽章の間然としたところがなく、それでいてチャーミングな演奏を聴くだけですでに心奪われる。 第2楽章のアンダンテは優美な旋律に酔いしれる。 メヌエットはスケール感のある音楽だ。トリオは優雅で繊細…

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モーツァルトの 歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」をアーノンクール指揮で視聴する

アーノンクールの演奏の大半がそうであるように、このDVDでの演奏も、ヴァイオリンの響きに、古楽器風のものを感じるし、チェンバロの音色がさらにそうした雰囲気を盛り立ている。全体としては非常に引き締まった、しかし力みのない、すっきりとしたものになっている。無駄の一かけらもない。リズムには生命力がある。歌手たちも素晴らしい。 バルトリは、「セビリャの理髪師」「チェネレントラ」他で素晴らしい演唱を聞か…

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LPで聴くワルター指揮のモーツァルト の交響曲第40番・41番

昨年7月以来の鑑賞。 第40番。 弦楽合奏だけで進む第1楽章。何度聴いても、あふれるばかりの美しさは毫も変わらない。 第2楽章のアンダンテは夾雑物を排したかの感がある。木管はあくまでも柔らかく、弦はいつまでもしなやかで、オーケストラは気品を纏う。 メヌエットの開始時のスケールの大きさに一瞬、驚きを禁じ得ないが、躍動するリズム、中間部の流麗ともいえる旋律、抑制の効いた金管(ホルン)はワルタ…

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モーツァルト の歌劇「皇帝ティートの慈悲」のDVDを視聴して

20221年3月以来の視聴。この歌劇は、アーノンクール指揮/ウィーン・フィルによるザルツブルク音楽祭のライブ収録のDVDで視聴していた。演出がしっくりこなく、良いDVDがないかと探していたところ、とりあえずこのDVDを購入した。 演出は完全に読み替えでありながら、全く違和感のないものである。オーケストラは名前からも推測できるが、古楽器風の演奏であるものの、これも全くと言っていいほど違和感はない…

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モーツァルトの 歌劇「後宮からの誘拐」をベーム指揮のDVDで視聴する

2021年11月以来の視聴。 前回の視聴でも、トルコ風の音楽の多いことが印象に残っていたが、その印象は変わらない。かつて読んだ本の中にモーツァルトの「トルコ行進曲」について述べられているところがあり、当時のオスマン・トルコとヨーロッパの情勢も説明されていた。トルコ風の音楽は、軍隊が用いた大音量の太鼓やシンバルなどの影響を受けたのだとあったが、オペラでも、とりわけフィナーレの音楽はそうしたものだ…