2021年01月13日(水)16:37 会員以外にも公開 植松自由人 4、『武田三代 信虎・信玄・勝頼』(平山優執筆・監修)は実にリアルなり 『武田三代 信虎・信玄・勝頼』(戦国にその名を轟かせた三代の軌跡) 平山優執筆・監修 サンニチ 武田三代プロジェクト 2019年4月1日発行 ー今年は、武田信玄生誕500年になり、山梨県では、武田信玄を顕彰する催しを、県民上げて行われます。そんなこと背、信玄や武田家に関する本を、再度読もうと思い、この本読了しました。素晴らしくリアルに、歴史探究がされていた、感動して拝読しました。武田信玄の実像が…
2021年01月07日(木)17:41 会員以外にも公開 植松自由人 2、『明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子』(太田治子著)は、娘の万里子にも話したいと 『明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子』 太田治子著 朝日文庫 2012年6月30日発行 ー昭和22年11月12日、私は神奈川県足柄下郡下曽我で生まれた。 私の父・太宰治が初めて下曽我駅に降りた時は、もつ夕暮れが近かった。昭和19年の1月のことである。母・太田静子は母親のきさと二人疎開してきてまだまもなかった。 大学生の娘の万里子が歩いていた。 「小説と現実を一緒にするのはおかしい」という人…
2021年01月03日(日)17:26 会員以外にも公開 植松自由人 1、『夜の歌(下)』(なかにし礼著)「これでいつ死んでもいい。すべて良しなのだと思った」と。 『夜の歌(下)』 なかにし礼著 講談社文庫 2020年1月15日発行 ー「宏子、あなたと礼三は、今の私にとっては私自身なのよ。私そのものなのよ」 なにを言われたのか、言葉の意味がよくのみ込めないまま呆然としている姉を残して母は小路を抜けて部屋に戻った。 「あの人、塚本さんじゃないかな?」 塚本というのは室田が社員として勤めていた協和物産の人である。 塚本がぶらさげている札には、日本軍特務的…
2020年12月28日(月)14:42 会員以外にも公開 植松自由人 161、『深夜特急6-南ヨーロッパ・ロンドン』(沢木耕太郎著)は、<ワレ到着セズ>と。 『深夜特急6-南ヨーロッパ・ロンドン』 沢木耕太郎著 新潮文庫 平成6年6月1日発行 ーこの『深夜特急』は、この、6冊目で発行されているのは終わりです。面白い紀行文だったと思いました。ただ、このノンフィクション作家は、博奕に興味を持っていて、その場面を描いた叙述は面白く興味を惹かれましたが、僕は博奕は、やったこともないし、したくもないので、そればかりだと嫌になります。それ以外はこの作家のエッセイ…
2020年12月26日(土)12:57 会員以外にも公開 植松自由人 160、『深夜特急5ートルコ・ギリシャ・地中海』(沢木耕太郎著)安い、とかタダだ、というのが「深夜特急」のキーワード。 『深夜特急5-トルコ・ギリシャ・地中海ー』沢木耕太郎著 新潮文庫 平成6年6月1日発行 ー「エルズルム?」 誰かが首を振り、別の誰かが指差してくれる。そこでまた私は教えられた方向へ走り出す。ようやくエルズルム行きのバスに辿り着いた。間一髪だった。荷物係が運転手の脇の席に腰を下ろし、まさにドアが閉められようとする寸前だったからだ。 運転手と荷物係はまた顔を見合わせ、ふたこと、みこと相談し、10…
2020年12月21日(月)13:33 会員以外にも公開 植松自由人 159、『深夜特急3-インド・ネパール』(沢木耕太郎著)は、「あんなに過酷な旅をしたんだから、この東京なら、どんなことをしても生きていける」と 『深夜特急3-インド・ネパールー』 沢木耕太郎著 新潮文庫 平成6年4月25日発行 ーカルカッタは、特に何があるという街ではなかったが、いくら歩いても飽きそうになかった。 カルカッタには、いま生きている人間に関わるものならすべてあった。 まだ7、8歳にしかならない少女が、僅か3ルピーの金で体を売ろうとしている。しかし、彼女がそのような申し出をするからには、どこかに必ず買う男がいるのだろう。 …
2020年12月20日(日)15:52 会員以外にも公開 植松自由人 157、『政治家の覚悟』(菅義偉著)は、何が「当たり前」なのかを、見極め判断し、大胆に実行する政治をしていくと 『政治家の覚悟』 菅義偉著 文春新書 2020年10月20日発行 ー菅義偉首相は、当然、安倍首相の後は、新首相になるだろう、なれば良いなと思っていた。そして、なったら、あまり評判は良くないな、と思って見守っていた。だから、この本も、ブックオフで買って、読めるようになるまで待って、読もうと思っていた。それが、読んでみると面白く感動した。「当たり前」のことを、国民目線で政治を行うと言い、具体的にそれ…
2020年12月17日(木)17:04 会員以外にも公開 植松自由人 156、『無名』(沢木耕太郎著)は著者の父の無名の生きざま描く 『無名』 沢木耕太郎著 幻冬舎文庫 平成18年8月5日発行 ーフランスから帰ってしばらくした頃、母から父が入院したという連絡が入った。 私には姉が二人おり。 父が呆けてしまうのではないかと心配していた。人生の楽しみの大部分を占めていた読書ができなくなってしまうからだ。 仰向けに寝ている父の呼吸が苦しそうだ。 ベッド横の小物入れのボックスの上に2冊の本があるのに気がついた。1冊は父がここ…
2020年12月15日(火)10:34 会員以外にも公開 植松自由人 155、『深夜特急2マレー半島・シンガポール』(沢木耕太郎著)は香港の幻影ばかり追い求めていた 『深夜特急2-マレー半島・シンガポールー』沢木耕太郎著 新潮文庫 平成6年2月25日発行 ー『深夜特急1』を読んで、次に、『深夜特急2』を読むことができた。やはり、著者の人柄に惹かれて読みたくなった。それに、購入も容易にできたりした。 ーやがてバスが来て、彼の後について乗り込むと、当然のことのように2人分を払ってくれた。彼には、あの金はバス代のために交換したということがわかっていなかったのだろ…
2020年12月12日(土)16:46 会員以外にも公開 植松自由人 153、『新樹の言葉』(太宰治著)には著者の甲府時代、著者の兄弟のことなど記す 『新樹の言葉』 太宰治著 新潮文庫 昭和57年7月25日発行 ーこの本は、「美少女」という作品が、YBSラジオで朗読されたことがあり、それを聴いたりして、それの載っている『新樹の言葉』を読んでみようと思っていて、今回読了した。 ー新樹の言葉 押し入れから甲州産の白葡萄酒の1升瓶をとりだし、茶飲茶碗で、がぶがぶのんで、酔って来たので蒲団ひいて寝てしまった。これも、なかなか、ばかな男である。 私…
2020年12月09日(水)18:46 会員以外にも公開 植松自由人 152、『タイル』(柳美里著)はよく分からない小説だった 『タイル』 柳美里著 文芸春秋平成9年11月10日発行 ー柳美里の作品は久しぶりに読んだ。だけど、さっぱりストーリーや、登場人物の行動、感情の様子が分からなかった。以前興味を持って読んだのは、男女の交流を描いた、リアルな作品だった。現代の男女はこのように交流して生きていくんだな、と思ったものだった。それが、この作品は、さっぱり、リアルさが、感じられない。作家の夏海が殺害されるのだが、そうした殺人…
2020年12月08日(火)12:02 会員以外にも公開 植松自由人 151、『深夜特急1-香港・マカオ』(沢木耕太郎著)は外国旅行を描く 『深夜特急1-香港・マカオ』 沢木耕太郎著 新潮文庫 平成6年3月25日発行 ーこの本は、沢木耕太郎という僕の知らない作家で1947年生まれという人の話を「ラジオ深夜便」の「明日へのことば」で聴いて、この作家の得意とする旅の小説を読んでみようと、ブックオフで探して、この本を選び読了したのである。この作家に興味を持ったのは、話が面白かったことと、年齢が僕と同世代であることである。そういえば、僕と同…
2020年12月06日(日)16:32 会員以外にも公開 植松自由人 150、『空白の日本史』(本郷和人著)は、先輩の業績を評価し、反論しながら、継承していくことが必要だ 『空白の日本史』 本郷和人著 扶桑社新書 2020年1月1日発行 ー歴史学者、本郷和人さんの本を読んだ3冊目の本である。自身の歴史研究の方法を記し、日本史研究の問題点や日本人の特徴を記していた。日本史研究を、しっかりと自分の信じる方法で行っているところに感動した。 ー古来より、神道よりも仏教のほうが、天皇家をはじめとする日本の社会に対して、強い影響力を持っていた。 「空白」に焦点を当てることで…
2020年12月03日(木)11:30 会員以外にも公開 植松自由人 149、『いまを生きるちから』(五木寛之著)は「日本人の持っているちから」を信じ、それを伸ばしていく 『いまを生きるちから』 五木寛之著 角川文庫 平成20年12月25日発行 ー「ラジオ深夜便」(2020年12月号)の「五木寛之のラジオ千夜一話」の「コロナ禍に思うことその3」で、僕が特に感動したことを、五木さんが書いていた。 ー個人の努力ではどうすることもできない現実を目の前に突きつけられ、無力感にさいなまれる。 「努力はうそをつく」という羽生結弦さんの言葉に、それでも努力を積み重ねていくアス…
2020年12月01日(火)17:58 会員以外にも公開 植松自由人 148、『なぜ武士は生まれたのか』(本郷和人著)は日本に多様性を産み出したこと 『さかのぼり日本史 なぜ武士は生まれたのか』本郷和人著 文春文庫 2019年12月10日発行 ー本郷和人さんの本は、これが2冊目です。日本史の見方が面白く斬新だと感じて読もうと思った。武士が生まれたことで、日本の多様性のある文化や歴史が面白く活気が生まれたと言っていました。頼朝が義経を死なせた行為は、武士政権を確立するために仕方がなかったと言っていました。 ー天皇家の混乱に終止符を打った人物が、…
2020年11月29日(日)20:57 会員以外にも公開 植松自由人 147、『いつまでも男と女 老いかたレッスン』(渡辺淳一著)は70歳を超えた人、結婚生活を楽しんでください、と 『いつまでも男と女 老いかたレッスン』 渡辺淳一著 新潮社 2014年2月20日発行 ー恋愛は変わることである。 恋愛の功徳は、変わることである。 科学や技術がいかに進歩し、生活や環境がいかに変わっても、永遠に変わらず進歩しないものがある。 これを素直な目で見詰め、書き残していくのが、「文学」である。 時代を超えて変わらぬ、人間の真の姿を正確に写しとどめたものでなければならない。 時…
2020年11月27日(金)15:45 会員以外にも公開 植松自由人 144、『三度目の日本ー幕末、敗戦、平成を越えて』(堺屋太一著)は面白い 『三度目の日本ー幕末、敗戦、平成を越えて』 堺屋太一著 祥伝社新書 2019年5月10日発行 ー堺屋太一氏は、2019年2月8日、逝去され、本書が遺作になる、とある。堺屋さんの本は、『ブランドと百円ショップー知恵働きの時代』という本を、以前に買った。題名が面白いと思ったから。その本の「第5章ブランドと百円ショップ・知価革命社会へ」 ブランドと百円ショップ 大型のブランドショップが増えている。…
2020年11月21日(土)13:52 会員以外にも公開 植松自由人 141、『だから拙者は負けました。』(本郷和人著)は負けた人間の感情が面白い 『だから拙者は負けました。』 本郷和人著 宝島社 2020年5月23日発行 ーこの本は、僕のデイ勤務での同僚の本好きの女性からのお勧めの本だったので読んだ。僕は、いつも負けることが多いので、負ける人の気持ちはよく分かると思っていたが、なるほど、こういうものなのだ、と楽しく読んだ。 ー源義経 22歳の義経は兄のもとに駆け付けます。 31歳の若さで自ら命を絶ちました。 北条時政 源頼朝の平氏討…
2020年11月21日(土)10:03 会員以外にも公開 植松自由人 清水典子先生の歌集を読み、97歳で亡くなった先生を悼む 歌人である、清水典子先生とは、年賀状の交流は続けていたが、僕が年刊同人誌『趣味』を発行していた時は大いに励ましを受けた。 『趣味』の第24号(終刊号)(平成24年)(2012年)の読者、執筆者の声、に載せていた清水典子先生の手紙を掲載します。 清水典子様(北杜市在住) ことしも余すところ、2週間。あっという間に過ぎてしまいました。昨日は『趣味23号』ご恵贈下さり有難うございました。2、3の…
2020年11月19日(木)08:39 会員以外にも公開 植松自由人 140、『孤高の人(下)』(1)加藤は、単独行でない山行で遭難死せし 『孤高の人(下)』 新田次郎著 新潮文庫 昭和48年2月27日発行 ー速歩、単独行でヒマラヤ貯金をしていた社会人登山家加藤文太郎は、慕われた宮村健とのパーテイ登山で遭難死する。この小説の(下)は、とにかく、読み苦しかった。(上)では、単独行を全力で精一杯見事に行う行動を、(下)では、単独行を社会で行うときの難しさ、他人と行動することの難しさなど、を知らされた。行動すること、生きることは、人間にと…