「五木寛之」の日記一覧

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12、「百歳人生を生きるヒント」(五木寛之著)居心地のよい場所を探して生きること

「百歳人生を生きるヒント」 五木寛之著  日経プレミアシリーズ 2017年12月20日発行 ー国連の推計によると、2007年に日本に生まれた子どもの半分は、107歳以上生きることが予想されるというのです。この107という数字に説得力があります。  私は現在85歳で、百歳まで生きる可能性はかなり少ないとはいえ、まかり間違えば、無いとも言えない。  百歳人生とは、人生の下り坂が、思った以上に長くなる…

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立ち尽くす明日

私が生まれ故郷の東北から関西に移住してきた 翌年にあの未曽有の「東日本大震災」が起こった。 2011年(平成23年)3月11日のことである。 今年の3月で満9年目を迎える。 奇遇にも新天地であった神戸の街が、「阪神淡路大震災」 という大地震に見舞われてから、今年で25年目を迎えた。 1995年(平成7年)1月17日のことである。 両災害とも、現代の日本人に物理的にも精神的にも 決定的なダメー…

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10、「デラシネの旗」(五木寛之著)は若者の姿描く

五木寛之小説全集(第8巻)「デラシネの旗」 五木寛之著 講談社 昭和55年11月21日発行 ー「21世紀仏教の旅中国編」で五木寛之は、 「1968年5月、フランス5月革命 すぐさま自分が見たパリを舞台に「デラシネの旗」という1篇の小説を書いた。  と記していた。  それで、僕は、「デラシネの旗」を読もうと思っていた。 ーおれはジョーを、いや、当時文学部1年の城野理江子という女子学生をかかえて逃げ…

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1日1首(令和2年1月21日~1月25日)

令和2年1月21日 笛吹市シルバー人材センターに登録に行く仕事見つけに     1月22日 フラココで藤原さんとカラオケを新人2人加え楽しむ     1月23日 「朱鷺の墓(下)」甲府市立図書館で見つけ借り受け急ぎ読了     1月24日 「デラシネの旗」も甲府の図書館で借り受けもっか読了中なり     1月25日 寝たきりで絵画、書描く小林浩太朗展娘夫婦と義隆妻行く 丹羽さん…

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9、「朱鷺の墓下」(五木寛之著)厳しい生きざまを知る

「朱鷺の墓下」 五木寛之著 新潮文庫 昭和57年1月25日発行 ーやっとのことで、この本を、甲府市立図書館で入手した。自分の本でないので、赤線は引けない。でも何とか読了した。 ー「イコンは偽物でも、あなたたちは本物です」  「あたしはマルグレッドという娘さんと、どんな夜をすごして帰ってこようと、怒ったりしません。ただ帰ってきてくれさえすれば。そして私のことを忘れてしまいさえしなければ」  「こん…

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8、「朱鷺の墓上中」の厳しい生き方に引き込まれて(続き)

ー自分は確かに思いがけない不幸に見舞われた女だ、そして自分の人生をめちゃめちゃに一度はしたと思う。だが、現在の自分は、平穏無事に金沢で生きていたよりも、はるかに豊かな充実した人生をいま生きている、と染乃は感じるのだった。  そして今、30歳をむかえた染乃は、すでに10年前とくらべると全く別人のような婦人として異国の街に生きていたのだった。 「わたくしは本当は日本人や日本という国に、それほど強い愛…

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8、8、「朱鷺の墓上中」(五木寛之著)の厳しい生き方に引き込まれて

「朱鷺の墓上」 五木寛之著 角川文庫 平成22年8月25日発行 「朱鷺の墓中」 新潮文庫 昭和57年1月10日発行 ー五木寛之著「朱鷺の墓」を読もうと思ったのは、尾崎秀樹「デラシネの軌跡を追って(五木寛之文学紀行)」を読んだのがきっかけだった。 ー「青春の門」とともに大河小説の双璧をなす「朱鷺の墓」は、この金沢を舞台に物語がはじまっている。  と尾崎秀樹は解説していた。 ー機一郎という男は、染乃…

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五木著「旅の幻燈」を読む

「旅の幻燈」 五木寛之著 講談社文庫 1990年5月15日発行 ー「シロユキ!」 と、彼女は私を呼びつけにした。ヒロユキ、とはなぜか呼ばなかった。  彼女は日本語をかなり達者に話した。だが、濁音のところがうまく発音できず、そのためにかえって軽やかで音楽的にひびく話しかたになるのだった。  私は同胞の遊び仲間を持たずに育った。 「おまえの絵は、どこか変だな」 「なんだか陰気で、ぱっとしないなあ」 …

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「内灘夫人」(五木寛之著)は学生運動と学生の姿描く

「内灘夫人」 五木寛之著 新潮文庫 昭和47年3月5日発行 ー森田克巳 <あの時からだ>  と、克巳は思った。あのひとと会った午後から、おれの目の前の世界が少しずつ変わってきたのだ。 沢木霧子 不思議な人妻らしい女 <私は死んだ人間だわ> 英子 沢木良平  黒沢 西条杏子  克巳がびっくりしたように、 「こんな所に内庭があるんだな」  内福を表にあらわさず、というのがこの土地のならわしだと本で読…

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1日1首(令和元年12月6日~12月10日)

令和元年12月6日 同級会新聞社より電話来る14日の山日載ると     12月7日 恒例の俳句募集のはがき来る何度出しても入選しないが     12月8日 鋸の刃折れてしまえり丈夫だったが無理な使用で     12月9日 五木著「仏教の旅」ブッダからの禅は欧米までも広まると     12月10日 スタッドレスタイヤ交換やっとするジャッキ仕方がやっと出来たり 「この1年」を投稿したり読書…

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五木寛之著「21世紀仏教の旅 中国編」を読む(終)

「21世紀 仏教の旅 中国編」 五木寛之著 講談社 2007年4月25日発行 ー「結局、禅は呼吸ですな」  呼吸によっていたる境地は、宇宙と一体である自分に「気づく」感覚ではないかと思う。 先に「アナバーナ・サテイ・スートラ」という経典のことを書いた。 「サテイ」とは、このように「意識する」ことなのである。 サンスクリット語では、呼吸のことを「プラーナ」という。  呼吸を意識することは、いのちを…

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五木寛之著「21世紀仏教への旅 中国編」アジアや欧米の仏教の姿知る(1)

「21世紀 仏教への旅 中国編」五木寛之著 講談社 2007年4月25日発行 ー寧波(ニンポー)は、いわば中国側の日本に対する玄関口だったのである。  この川は中国禅が日本へ伝わっていった源流ともいえるだろう。  年々自殺者が増加し、悲惨な殺人事件が繰り返されているのは日本だけではない。見失った自分を取り戻したいという思いが、いま、世界のいたるところで渦巻いているのではないか。  本当の自分に出…

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五木寛之著「百寺巡礼第1巻奈良 中宮寺、東大寺」を読む

「百寺巡礼第1巻奈良 中宮寺、東大寺」 五木寛之著 講談社 2003年6月30日発行 ー第7番 中宮寺  「聖徳太子建立7ヵ寺」と伝えられるのは、法隆寺、四天王寺、中宮寺、橘寺、蜂丘寺、池後寺、葛城寺の7つ。 この7つの寺のなかの法隆寺、中宮寺、池後寺(現在の法起寺)が斑鳩にある。  現在の中宮寺は、聖徳太子が母である穴穂部間人太后の菩提を弔うために、その御所を寺にしたものだと伝えられている。斑…

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五木寛之著「百寺巡礼 第1巻 奈良 唐招提寺、法隆寺など」を読む

「百寺巡礼 第1巻 奈良 唐招提寺、法隆寺」 五木寛之著 講談社 2003年6月30日発行 ーつねに体調を崩しながらも、ずっと旅をつづけている。  この旅の途中で、もし死ぬことができたとしたなら、それこそが私の遊行期ではあるまいか。  第4番 唐招提寺 ー世界最古の木造建築といわれる法隆寺の伽藍にも、過去に修理された跡があちこちに残っている。  唐招提寺は、鑑真の遺徳をしのぶ人びとの手で守られて…

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五木寛之「デラシネの夜の終わりに」を読む

 偶然、現代日本の文学、太宰治集 昭和44年9月1日発行に、五木寛之さんの太宰治文学紀行「デラシネの夜の終わりに」が載っていた。それで、読んでみた。 ー私は敗戦と引き揚げの体験の中から、 つまり、私は自分に関して、幸運、という言葉を信じる事ができなかったのである。私は自分を、ひどく運の悪い人間だと信じ込んでいた。  津軽とは縁もゆかりもない私が、なぜ津軽に強く惹かれるのかは、  私は根のない人間…

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「天命」 五木寛之著

天命、平成17年9月4日第一刷。 お気に入りさんが「天命」を読んでいるというので読みたくなり読みましたが以前読んだことがありました。 再読でしたが久しぶりに「面白い本でした」 五木寛之の文章・本は直ぐにわかるような気がします(実際は分からないんでしょうが) 前書きが長くなりました。 内容は、『これまで「生きることをテーマにした本を書いてきましたが、そのなかで「死」にふれることはあっても正面か…

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幸せ上手

久しぶりに五木寛之氏のエッセーを読んだ。 最近は東野圭吾氏のホテルを舞台にしたサスペンス小説に嵌っていた。 「マスカレード・ホテル」「マスカレード・イブ」という 最高に華麗なサスペンスシリーズだ。 小説は読んでいる真っ只中は、そのストーリーにドップリ嵌って束の間の非日常を楽しめる。 でも、謎解きが迷路のようにグジャグジャに絡まっていると、脳ミソがあちこちを彷徨して疲れることもある。 そんな…