「天野純希」の日記一覧

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天野純希 の 猛き朝日(たけきあさひ)

★3.5 木曽義仲と彼を取り巻く人々の物語。 河内源氏の一門、源義賢(義朝の弟)の次男・駒王丸として生まれ、一門の争いで父を討たれると木曽谷の豪族、中原兼遠によって育てられる。子の樋口兼光、今井兼平、落合兼行が義仲の腹心となって活躍する。 正室(義高の母)伊吹は諏訪大社下宮の神官・金刺盛澄の娘としている(中原兼遠の娘の説が有力)。巴は丹後の村で平家の侍に幼い息子・力丸を殺され都で禿童狩り…

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天野純希 の もろびとの空 三木城合戦記

★3.3 別所氏の三木城落城譚といえばその凄惨さから、あまりに有名な話として伝えられている。若き女武者・波のこともよく知られている。秀吉の干し殺しの最後は、幼い子らを含め別所一族の死をもって立て籠もった領民、家臣の命が救われるのである。 物語は百姓の娘で米を得られることから女武者団に参加した加代と、女武者団を支える別所家家臣の蔭山伊織の眼で語られる。兵糧の尽きた地獄の毎日の末、波が武家の誇りを…

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天野純希 の 短編集 乱都

★3.4 7つの連作短編。時代は応仁の乱から義昭の将軍就任まで、都を中心に繰り広げられた戦乱を描く。 「黎明(れいめい)の王」〈応仁の乱〉のきっかけとなった畠山義就の生き方。 「天魔の都」細川勝元の嫡男に生まれた政元は叡山を焼き、修験道に。 「都は西方に在り」10年も京へ留まらざるをえなかった大内義興。 「凡愚の見た夢」庶流の細川野州家に生まれた高国は三好元長に追い詰められ。 「華は散れども」…

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天野純希 の 紅蓮浄土 石山合戦記

★3.5 石山本願寺の消滅までを描く合戦異聞。 千世は総本山に護法衆として仕える身。孤児だった幼い頃に引き取られ忍者として育てられた。30人ほどの同朋が各地に派遣され情報収集や各種の工作に就いている。 長島に派遣された千世は大島新左衛門の護衛の任につく。三好一門のでであり大島での道場主でもある。「法灯を消すな。仏敵である信長を倒せ」「進めば極楽、退けば地獄」。巧みな教義のすり替えがなされていく…

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天野純希 の 覇道の槍

★3.6 京の地を度々支配下に置いた三好3代、その2代・元長の生涯を描く。 阿波の守護代・元長の夢は細川六郎元晴と足利義維を担ぎ、管領細川高国、将軍足利義晴を追って新たな政権を樹立する事。 立ち塞がる越前朝倉の将・朝倉宗滴、同輩の丹波の柳本賢治、そして備前の赤松氏の臣・浦上村宗。堺の地に義維の境幕府を樹立するが最後は主と担いだ元晴にも裏切られ。 阿波の山奥の三好郡に勢力を養った三好氏、近畿…

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天野純希 の 信長、天が誅する

★3.4 信長に関係する5人の眼でみた信長像の短編。 井伊家の眼から見た桶狭間の戦い。 浅井家に嫁いだお市の眼で「姉川の戦い」を。 門徒の眼から長島一向一揆を。 武田勝頼の眼で長篠の戦いを。 織田家の柱石として活躍した光秀は老いたと信長からみなされて。 信長はその生涯において何度も危機を迎えている。だが、それらを人の思いもよらぬ奇抜な手法と、奇跡としかいいようのない運にも恵まれてきた。「姉川…

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天野純希 の もののふの国

★3.3 武士の成立した源平の時代から消滅する西南の役までの歴史秘話的な話を、ファンタジー風な「大きな耳の山の民」と「眸の蒼い海の民」の抗争と位置付ける。 源平の抗争では平将門に藤原秀郷、源頼朝に文覚、そして安徳帝と密かに四国へ落ちた平教経。 南北朝では足利尊氏と楠正成、佐々木導誉、更には足利義満と大内義弘。 戦国では織田信長と明智光秀、豊臣秀吉は秀頼は己の子でないとし海の血が絶えると家康…

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天野純希 の 雑賀のいくさ姫

★3.5 楽しめる海洋時代小説。 雑賀孫一の一人娘・鶴は漂着した南蛮船を手に入れ南方との貿易に夢を託す。瀬戸内から長崎へ向かうが、途中で薩摩水軍の女将・巴に協力を求められた。 王直亡き後に明の海賊の親玉的存在となった林鳳が500艘を率いて九州簒奪を狙っているというのだ。薩摩水軍はこれを撃退せんと各地の有力水軍に協力を求めているという。 終結した日本側は、若林鎮興率いる大友水軍、児玉就方が率い…

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天野純希 の 燕雀(えんじゃく)の夢

★3.3 謙信、信玄、政宗、家康、信長、秀吉それぞれの父親の目線で時代や息子を描いた6つの短編。 長尾為景は一旦は嫡男の晴景に家督を譲るが景虎にすべきだったと悔やむ。 武田信虎は81歳で死ぬまでどこにいても武田家を愛し、己の活躍の場を探し続ける。 伊達輝宗は早くから政宗の才気を見抜き、阿武隈川岸で捕らわれの人質となった己ごとを撃たせる。 松平広忠は於大と竹千代との生活を取り戻したいと夢見…

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天野純希 の 南海の翼

★3.4 四国の戦国大名・長宗我部元親の生涯を描く。 土佐7雄の一家から頭角を現し土佐一国を統一、更に阿波、讃岐を追い詰め、最後は伊予にまで。四国をほぼ統一した時点で秀吉軍の圧倒的な兵力による四国征伐の憂き目に。領国は土佐一国に追われた。 自分の施策の結果にくよくよと悩む姿や、忍びを使っての暗殺指示などの暗い部分、家族をこよなく愛した人間元親がよく描かれている。 物語の中で明智光秀の謀反の…

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天野純希の「破天の剣」。

★3.8  九州の戦国末期を島津側から描いた物語。 島津義久・義弘兄弟はよく知られているが、3男・歳久そして腹違いの4男・家久がいた。 物語は「軍法戦術に妙を得たり」と称された家久の戦功を描いていく。 龍造寺隆信が沖田畷の戦いで敗死した相手、秀吉軍の先発隊として戸次川の戦いで長宗我部信親・十河存保が敗死した相手もこの家久である。 3州(薩摩、大隅、日向)の守護であるにもかかわらず薩摩のみ…