さんが書いた連載俳句帳の日記一覧

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8月の俳句帳(112)令和四年8月29日

1)どぜう汁(泥鰌汁)誘(いざな)ふ老舗(しにせ)の縄暖簾(なわのれん) 2)秋澄めば渉(わた)る小鷺の川瀬音 3)ひまわりに止まる蝶撃つロシア兵 4)水盤の門扉(もんぴ)へギョロ目の低飛行 5)茂みよりゆらり翔び立つ黒扇(おうぎ) 6)お銭(あし)増(ふ)ゆ蟇口(がまぐち)収む蛇の殼(から) 7)灯の涼し庭の龕灯(がんどう)通り雨 8)風呂上がり藍染め…

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7月の俳句帳(111)令和四年7月29日

1)水甕(かめ)の耀(かがよ)ふ門扉(もんぴ)夏とんぼ 2)朝庭の揚羽陽射しに瑞瑞(みずみず)し 3)田仕事の一段落や半夏雨(はんげあめ) 4)夏安居(げあんご)や風呂へ井戸水僧走る 5)庭座敷陽射し遮(さえぎ)る葭簾(よしすだれ) 6)青墨で床の掛け軸団扇風(うちわかぜ) 7)水撒きや坪庭皿の藍濡らし 8)蝉の声今日は雨降り耳の中 9)葉の打ちて高鳴る瓦(かわら)泣く白雨(はく…

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6月の俳句帳(110)令和四年6月29日

1)味噌蔵の仕込む麹(こうじ)や黴(かび)の雨 2)梅雨の晴れ日の出一条海落暉(うみらっき) 3)筧水ぽたりぽたりと五月雨寺(さみだれじ) 4)老鶯と和する山寺朝読経(あさどきょう) 5)屏風絵(びょうぶえ)の墨の五彩や余白梅雨 6)青田風棚田の水面波立てり 7)黒楽の茶碗の陰翳(いんえい)初夏茶席 8)縁側へ湯呑みの二つ新茶の香 9)水郷の潮来(いたこ)伊太郎あやめ舟 10)…

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5月の俳句帳(109)令和四年5月31日

1)青明かり灯す一山(いちざん)新樹光 2)新樹光塒(ねぐら)へ帰らぬ鳥の声 3)庇(ひさし)より陽射し膨らむ夏座敷 4)青田波螺鈿(らでん)耀(かがよ)ふ棗(なつめ)茶器 5)厳かな雅楽の笙(しょう)や竹の花 6)一枚の青田に落ちる田毎の月 7)卓上のモネの絵葉書睡蓮図 8)古陶や座卓の茶器で新茶呑む 9)さやさやと吹く風さやか竹落ち葉 10)稚魚群れる川辺の散歩青葉風 1…

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4月の俳句帳(108)令和四年4月30日

1)きな臭い穀物畠霾(つちふ)れり 2)清明の神より御加護戦火の地 3)木洩れ日を浴びし山門春絵の具 4)川瀬音岩場に残し鳥帰る 5)笙(しょう)の笛光が音へ春雅楽 6)臍(ほぞ)先をはめる槌(つち)音建てる春 7)到来の煎茶白磁で芳(かお)る春 8)蹲踞(つくばい)へ流るる筧(かけい)春調べ 9)ベンチ下伸び放題に草青む 10)葉裏より輝(ひか)る紋白庭を舞ふ 11)黄(き…

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3月の俳句帳(107)令和四年3月31日

1)斑鳩(いかるが)の五重の水煙(すいえん)春浅し 2)春茶席透ける青磁の薄明かり 3)宵並木首を竦(すく)める余寒なほ 4)朝読経合わせ鶯法法華経 5)春泥を踏みて並木の雨散歩 6)江戸の粋(いき)帯に根付けの春狐 7)ちらちらと川面に微光風光る 8)蕗(ふき)味噌のほろ苦味や遅朝餉(げ) 9)花筒に紅白椿床柱 10)赤根染め濃く染め出して春茜(あかね) 11)着こなしの所…

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2月の俳句帳(106)令和四年2月28日

1)藍染めや春も溶け出る水浅葱 2)鳥影の蠢(うごめ)く斑(はだら)春障子 3)春立ちぬ御手前所作(しょさ)の佇(たたず)まい 4)躙(にじ)り口一期一会の春茶席 5)うすらひ(薄ら氷)の季語に銘(めい)付す京和菓子 6)輝る稚魚飛び込む春の川翡翠 7)伊吹山寒風一聲吹く川辺 8)蠟涙を流し燭台冬終わる 9)掛け軸の薄墨春の仄(ほの)灯り 10)春燈を灯す里山谷の默(もだ) …

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7月の俳句帳(99)令和三年7月30日

1)土石流襲いし熱海虎が雨 2)伝統の藍染め晒(さら)す梅雨晴れ間 3)恙(つうが)なく二回目接種梅雨空ける 4)入相(いりあい)の鐘の音(ね)届く釣鐘草 5)エンジンを全開にして蝉時雨 6)今年又出会ふ灯心(とうしん)遊歩川 7)雨安居(うあんご)や接心(せっしん)終わりて粥(しゅく)を待つ 8)山緑(やまみどり)朱(あか)屋根一軒鶏(とり)の啼く 9)鷺草の飛び立つ庭や古刹(…

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6月の俳句帳(98)令和三年6月30日

1)渓流のせせらぎ岩魚(いわな)潜む淵(ふち) 2)動くかに見へし青鷺北斎画 3)香道を聞く爽やかさ梅雨(つゆ)茶室 4)梅雨庭や実梅降り止み梅しごと 5)雨烟(けぶ)る紫陽花(あじさい)淡く藍の毬(まり) 6)一山(いちざん)の満天の星螢の火 7)巣ごもりの自粛疲れや焼酎瓶 8)躙(にじ)る前 蹲(つくばい)の音涼し音 9)黒ジョカの前割酌みて柿若葉 10)梅しごと終えて安ら…

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5月の俳句帳(97)令和三年5月31日

コロナ禍の日本 コロナ禍の中で二度目の暑い夏を迎えようとしています。 連日コロナの感染者数がテレビで放映され、東京、大阪、愛知等緊急事態宣言が出される中、日本で、東京でオリンピック・パラリンピックが安心安全に果たして行なえるのでしょうか。 以下は俳句帳の作品解説で有る。 1)「鳥飼」米焼酎の720ミリリットルボトル。宮内庁御用達で吟香とも言える香り高い高価格のプレミアム焼酎。  2)龍安寺に有る…

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4月の俳句帳(96)令和三年4月30日

1)清明の光り溢るる千枚田 2)清明に川の明かりや野の眩(まぶ)し 3)壮大な一目(ひとめ)千本花吉野 4)花溜まり川面浮かべて染井散る 5)ぱたぱたと猫の身震い花の冷へ 6)目に映る棚田の縁(へり)に躑躅(つつじ)垣 7)雨後の宵ぼんやり点る花躑躅 8)砂糖晒(さら)し丹精(たんせい)の菓子風光る 9)天守より黄金(きん)鯱降ろし風薫る 10)茶室着き蝶舞ふ庭の躙(にじり)口…

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3月の俳句帳(95)令和三年3月31日

季語 連翹・連翹忌 連翹の黄色の花は庭や野原や川岸で見ることが出来ますが 誰でも知っているという花では無い。可憐で素朴な野の花で有る。高村光太郎がアトリエの庭に咲く連翹(れんぎょう)の花を大変愛し、彼の告別式で棺桶の上に連翹の一枝が置かれていた事に由来する。黄色の可憐な花に智恵子のイメージを重ねて居たのかも知れない。 安達太良の空の真青や連翹忌 山田春生 連翹忌ほんとの青い空何処 長崎桂子 …

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2月の俳句帳(94)令和三年2月25日

季語「風光る」に寄せて  三寒四温の寒い日、暖かい日、風の冷たい日、風の穏やかな日を重ね、季節は徐々に春めいて行く。「風光る」が季語として使用されたのは江戸時代の末で、実際。俳句として詠まれるようになったのは明治以降と歳時記に記載されている。風が「光る」という詞の響きに新鮮な感じがあり、人気が高まっている季語である。 「風光る」は春の風の一つの様相で、吹く風もきらきら輝いて見え、風に揺らぐ風景…

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1月の俳句帳(93)令和三年1月29日

1)常磐津(ときわず)の流れる茶会釜開き 2)障子窓樹影の揺れや翳(かげ)明かり 3)夕茶室床の蠟梅黄を灯す 4)川抜ける伊吹颪(おろし)や風の脚 5)堀川辺伊吹颪に首すくむ 6)伊吹吹く風道凍てる堀川路 7)川杭に並ぶ寒禽背を丸め 8)雪しまき翠羽の岸辺蒼背照る 9)朝靄(もや)にのどか鴨笛渡る濠 10)月光を浴びて山道寒九郎 11)京町家雪見障子の仄明かり 12)閑けさ…

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12月の俳句帳(92)令和二年12月29日

1)眼に背蒼輝る(ひかる)枯れ葦翠羽撮る 2)川翠羽煌めく蒼背凍て岸に 3)瑠璃紺(るりこん)を眼に焼き付けて寒翠羽 4)銀鈴を振りてかわせび雪の川 5)夕濠に水脈(みお)引き響く鴨の笛 6)杭に乗り翅(はね)を丸めて鴨憩う 7)啼く鳥の息の白さよ凍え川 8)裸木の枝瘤幾つ鴉啼く 9)伊吹より吹き下ろす風鴨の川 10)冬の雁切り絵翳(かげ)濃く飾り窓 11)歳末や胡蝶の友禅舞…