「歳時記入門」の日記一覧

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あけび庵の俳句日記

8/4 【歳時記入門】俳句のテキスト 粉のふく南瓜を抱へ拭ひけり 山尾玉藻  ずつしりと南瓜落ちて暮淋し 素堂 ころげじと裾広がりに南瓜哉 素丸 「素丸発句集」 安んじて動かじとする南瓜哉 露月 鶺鴒がたたいて見たる南瓜かな 一茶 積雲の崩えがちに南瓜実りたり 臼田亜浪 朝な朝な南瓜を撫しに出るばかり 日野草城 夜は屋根の南瓜を忘れ寝まるなり 石橋辰之助 恐るべき暑さとなりし南瓜かな 長谷川櫂 …

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あけび庵の歳時記入門

8/3 【歳時記入門】俳句のテキスト 初秋 藤村忌鴫立庵も見てきたれ 石田波郷 *  藤村忌・・・ 作家、詩人である島崎藤村の忌日。八月二十二日。木曾馬籠 に生まれ、『若菜集』などで、詩人としての地位を得た。 また、小説の『破戒』で作家としての地位を確立した。『春』 『新生』、『夜明け前』など、著書多数。自然主義文学の代表 となった。昭和十八年(一九四三)七十一歳で没した。  【俳句】貴方の俳句…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

8/2 【歳時記入門】俳句のテキスト  草の葉を落るより飛蛍哉 芭蕉 己が火を木々の蛍や花の宿 芭蕉 此ほたる田ごとの月にくらべみん 芭蕉 めに残るよしのをせたの螢哉  芭蕉 蛍火の昼は消えつゝ柱かな 芭蕉 人殺す我かも知らず飛ぶ蛍 前田普羅 山霧に蛍きりきり吹かれたり  臼田亜浪 瀬をあらび堰に遊べる蛍かな 原石鼎 葉先より指に梳きとる蛍かな 長谷川櫂 あつき手をもて蛍火を掬ふかな 高田正子 …

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【歳時記入門】俳句のテキスト

8/1 【歳時記入門】俳句のテキスト 晩夏 あの世にて逢ふ人あまた蓮ひらく 林翔 天日にさらして枯るる蓮かな 富安風生 新蓮の料理もいでて盆らしや 高野素十 田にあふれ白蓮ひとつ畦に咲く 水原秋櫻子 鴨の子の面白がりて蓮の中 正岡子規 *  蓮/はちす/蓮の花/蓮華/蓮池/紅蓮/白蓮・・・ 仏教では涅槃の境地を象徴する神聖な花とされ、仏は この花の上に座す。また、泥の中から伸びて美しい花 を咲…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/31 【歳時記入門】俳句のテキスト 三夏 おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな 芭蕉 細道に篝こぼるる鵜舟かな 許六 うしろから月こそ出づれ鵜飼舟 蓼太 夜やいつの長良の鵜舟嘗て見し 蕪村 うしろより月になりゐる鵜舟かな 正岡子規 巌が根をこがしてはゆく鵜船かな 原石鼎 鵜飼の火川底見えて淋しけれ 村上鬼城 鵜を入れしまま干してある鵜籠かな 長谷川櫂 *  鵜飼/鵜川/鵜匠/鵜遣/荒鵜/鵜籠/鵜…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/30 【歳時記入門】俳句のテキスト 梢よりあだに落ちけり蝉のから 芭蕉 空蝉のふんばつて居て壊はれけり 前田普羅 うつせみをとればこぼれぬ松の膚 日野草城 空蝉にしてやはらかく草つかむ 長谷川櫂 蝉の殻うすうすと風抜けにけり 高田正子 *  空蝉/蝉の殻/蝉の抜殻/蝉のもぬけ・・・ 蝉のぬけ殻のこと。もともと「現し身」「現せ身」で、 生身の人間をさしたが、のちに、「空せ身」空しいこ の身、魂…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/29 【歳時記入門】俳句のテキスト  ビールほろ苦し女傑となりきれず 桂信子 飲み干せしビールの泡の口笑ふ 星野立子 おつまみの薄く軽しやビール飲む 高田風人子 黒潮の夜気迫りくるビールかな 桂信子 冷えすぎてビールなさざり夕蛙 石川桂郎 *  ビール/麦酒/生ビール/黒ビール/ビヤホール /ビヤガーデン/缶ビール・・・ 麦芽を主原料として発酵させたアルーコール度数の低い 飲料。ホップによる…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/28 【歳時記入門】俳句のテキスト  暑き日を海に入れたり最上川 芭蕉 水無月はふくびやう(腹病)やみの暑かな 芭蕉 葛原もまた静かなる暑さかな 杉風 うろうろと肥えた因果に暑さかな 路通 来て見れば森には森の暑さかな 千代尼 日の前の浮雲暑き蔭りかな 白雄 あら壁に西日のほてるあつさかな 正岡子規 蝶の舌ゼンマイに似るあつさかな 芥川龍之介 まだ暑くなりゆくけふの暑さかな 長谷川櫂 *  …

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/27 【歳時記入門】俳句のテキスト わが老の業はねむれずあけやすき 万太郎 明け易き波間に船の仮泊かな 蛇笏 山霧に湯の香こもりて明け易き 貞 足洗ふてつい明け易き丸寝かな 芭蕉 象潟や苫屋の土座も明やすし  曾良 廻廊に夜の明けやすし厳島 涼菟 明け易き夜やすり鉢のたまり水 梅室 子鴉の細枝踏んで明け易し 大谷句仏 明易や吹き寄せられし島一つ 長谷川櫂 *  明易(あけやす)/明易し…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/26 【歳時記入門】俳句のテキスト 涼風やほの三日月の羽黒山 芭蕉 涼風に消ゆる小雲の宿りかな 丈草 涼風を青田におろす伊吹かな 支考 涼風や我にふるるも惜しまるる 樗良 涼風や寄る辺もとむる蔓のさま 臼田亜浪 *  涼風/すずかぜ/風涼し・・・ 夏の終わり頃に吹く涼しい風のこと。 晩夏になると 夏型の気圧配置がくずれて、暑い風とは異なった風が 吹く。肌に涼気を感じる風である。  【俳句】貴…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/25 【歳時記入門】俳句のテキスト 蔭干の薬草匂ふ雪螢 野原春醪 先達は女なりけり薬狩 星野麥丘人 薬の日なりし土筆の砂糖漬 後藤比奈夫 薬の日杉のにほひをつけ歩く 斎藤玄 薬日や御殿の屋根の承路盤 政岡子規 薬猟す深山は蝉のこゑ澄みぬ 飯田蛇笏 薬降る園や山吹咲き残る 政岡子規 *  薬狩/薬の日/薬草摘/薬猟/百草摘/百草取 /きそひがり/薬草刈る・・・ 端午の節句に摘む薬は特別の効能が…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/24 【歳時記入門】俳句のテキスト  団扇もてあふがん人のうしろつき 芭蕉 絵団のそれも清十郎にお夏かな 蕪村 手すさびの団画ん草の汁 蕪村 あふぎつつひとの子誉むる団かな 几菫 蚊帳の中団扇しきりに動きけり 杉田久女 君来ねば柱にかけし団扇かな 村上鬼城 奈良団扇すなはち白を選びけり 長谷川櫂 *  団扇/団/白団扇/絵団扇/絹団扇/渋団扇/水団扇 /京団扇/奈良団扇/古団扇/…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/23 【歳時記入門】俳句のテキスト  冷房の大玻璃の外都市動く 松本たかし 冷房や識らぬ少女と一つ卓に 日野草城 冷房の鋼鉄の扉のしまる音 日野草城 * 冷房/クーラー/冷房装置/ルームクーラー/冷房車・・・ 液体アンモニアの気化による方法で乾燥した空気を作り、 これを冷やして室内に送る。炎暑の室内の温度を下げ暑さ を忘れさせてくれる。近年は、地球温暖化防止の為に室内 の温度設定を上げる取り…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/22 【歳時記入門】俳句のテキスト 昔聞け秩父殿さへすまふとり 芭蕉 月のみか雨に相撲もなかりけり 芭蕉」 都にも住みまじりけり相撲取 去来 飛入りの力者あやしき角力かな 蕪村 脇向て不二を見る也勝相撲 一茶 月代に勇み立けり草相撲 木導 角力取る二階を叱る主かな 内藤鳴雪 *  相撲/角觝/角力/すまい/相撲取/力士/関取/辻相撲 /宮相撲/大相撲/土俵/相撲柱/相撲札/相撲触れ/相撲番付…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/21 【歳時記入門】俳句のテキスト  石の香や夏草赤く露あつし 芭蕉 夏草やうき世を覗く窓一ツ 青蘿 夏草や古井の底の水の音 虚子 月光揺れて夏草の間を流れかな 久女 夏草や兵共がゆめの跡 芭蕉 夏草のいつ道をまちがへた 山頭火 いちめんの夏草をふむその点景の私として 山頭火 *  夏草/夏の草/青草/草いきれ・・・ 夏に生い茂る草のこと。抜いても抜いても生えてくる雑草や 山野をおおう青芒、…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/20 【歳時記入門】俳句のテキスト(晩夏) 夕顔に米つき休む哀かな 芭蕉 夕顔や酔てかほ出す窓の穴 芭蕉 夕顔やそこら暮るるに白き花 太祗 ゆふがほや竹焼く寺の薄煙 蕪村 汁椀にぱっと夕貌明かりかな 一茶 夕顔を蛾の飛びめぐる薄暮かな 杉田久女 ほのぼのと揺れて夕顔ひらきそむ 長谷川櫂 *  夕顔/夕顔の花/夕顔棚/夕顔の実・・・ 夕顔は夕暮れにほの白い花を開く。その花は翌朝にはしぼ む。『…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/19 【歳時記入門】俳句のテキスト 三夏 世の夏や湖水にうかぶ波の上  芭蕉 夏旅や母のなき子がうしろかげ 白雄 ずんずんと夏を流すや最上川 正岡子規 切味噌のひなた臭さや夏泊り 嵐雪 見のこすや夏をまだらの京鹿子 蕪村 かなしさよ夏病みこもる髪ながし 石橋秀野 プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ 石田波郷 仰ぎゐて我になりゆく夏の鷹 森澄雄 *  夏/三夏/九夏/炎帝/朱夏・・・ 立夏から立…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/18 【歳時記入門】俳句のテキスト 晩夏 やがて死ぬけしきは見えず蝉の声 芭蕉 閑さや岩にしみ入る蝉の声 芭蕉 いでや我よきぬのきたり蝉衣 芭蕉 撞鐘もひゞくやうなり蝉の声  芭蕉 耳底に蝉はまだ啼く枕かな 蓼太 蝉涼し絵馬の天人身を横に 松本たかし 幾万の蝉死に絶えて風の音 長谷川櫂 *  蝉/初蝉/蝉時雨/朝蝉/夕蝉/夜蝉/油蝉/みんみん蝉 /熊蝉/蝉捕り/深山蝉・・・ 夏、樹木などにへ…

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【歳時記入門】俳句のテキスト

7/17 【歳時記入門】俳句のテキスト 仲夏 子ども等よ昼顔咲きぬ瓜むかん 芭蕉 ひるがほに昼寝せうもの床の山 芭蕉 ひるがほの短夜ねぶる昼間哉  芭蕉 昼顔やしめりなき野のきれ草鞋 太祇 とうふ屋が来る昼顔が咲にけり 一茶 ひるがほを踏みて眺めぬ塩屋崎 前田普羅 *  昼顔・・・ 夏の昼間、淡紅色のラッパ状の花を咲かせる。山地や 都会の空き地などどこにでも見られる。日盛りに花を 咲かせるところ…

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歳時記入門

7/16 【歳時記入門】俳句のテキスト 仲夏 ラベンダー畑遠ざかる程に濃し 嶋田摩耶子 ラベンダー婚のオルガン鳴り渡る 山口超心鬼 ラベンダー標高千の風に揺れ 飯島正人 放牧の牛の向ふのラベンダー 原 天明 鐘の鳴る丘のなぞへはラベンダー 森田峠(かつらぎ) *  ラベンダー・・・ 高さ60cmくらいの木質常緑多年草。葉は線形で 白粉を帯びる。頂に穂状をなして青紫色の小花をつ ける。北海道の栽培…