「日常・非日常」の日記一覧

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8月の俳句帳(100)令和三年8月31日

1)方丈(ほうじょう)へ筧(かけい)水音秋の風 2)野ざらしに色無き風の暮れる寺 3)山彦の帰る杣道(そまみち)秋立ちぬ 4)枝折り戸の唸る風音野分床(のわきどこ) 5)晩鶯(ばんおう)の声森に失せ百舌鳥(もず)の啼(な)く 6)恋扇(こいおうぎ)折れ舞ふ卍(まんじ)秋蝶二(に) 7)しおからと門扉(もんぴ)で出会いポスト行く 8)木耳(きくらげ)を青菜と刻む昼饂飩(うどん) 9…

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7月の俳句帳(99)令和三年7月30日

1)土石流襲いし熱海虎が雨 2)伝統の藍染め晒(さら)す梅雨晴れ間 3)恙(つうが)なく二回目接種梅雨空ける 4)入相(いりあい)の鐘の音(ね)届く釣鐘草 5)エンジンを全開にして蝉時雨 6)今年又出会ふ灯心(とうしん)遊歩川 7)雨安居(うあんご)や接心(せっしん)終わりて粥(しゅく)を待つ 8)山緑(やまみどり)朱(あか)屋根一軒鶏(とり)の啼く 9)鷺草の飛び立つ庭や古刹(…

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6月の俳句帳(98)令和三年6月30日

1)渓流のせせらぎ岩魚(いわな)潜む淵(ふち) 2)動くかに見へし青鷺北斎画 3)香道を聞く爽やかさ梅雨(つゆ)茶室 4)梅雨庭や実梅降り止み梅しごと 5)雨烟(けぶ)る紫陽花(あじさい)淡く藍の毬(まり) 6)一山(いちざん)の満天の星螢の火 7)巣ごもりの自粛疲れや焼酎瓶 8)躙(にじ)る前 蹲(つくばい)の音涼し音 9)黒ジョカの前割酌みて柿若葉 10)梅しごと終えて安ら…

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5月の俳句帳(97)令和三年5月31日

コロナ禍の日本 コロナ禍の中で二度目の暑い夏を迎えようとしています。 連日コロナの感染者数がテレビで放映され、東京、大阪、愛知等緊急事態宣言が出される中、日本で、東京でオリンピック・パラリンピックが安心安全に果たして行なえるのでしょうか。 以下は俳句帳の作品解説で有る。 1)「鳥飼」米焼酎の720ミリリットルボトル。宮内庁御用達で吟香とも言える香り高い高価格のプレミアム焼酎。  2)龍安寺に有る…

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4月の俳句帳(96)令和三年4月30日

1)清明の光り溢るる千枚田 2)清明に川の明かりや野の眩(まぶ)し 3)壮大な一目(ひとめ)千本花吉野 4)花溜まり川面浮かべて染井散る 5)ぱたぱたと猫の身震い花の冷へ 6)目に映る棚田の縁(へり)に躑躅(つつじ)垣 7)雨後の宵ぼんやり点る花躑躅 8)砂糖晒(さら)し丹精(たんせい)の菓子風光る 9)天守より黄金(きん)鯱降ろし風薫る 10)茶室着き蝶舞ふ庭の躙(にじり)口…

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3月の俳句帳(95)令和三年3月31日

季語 連翹・連翹忌 連翹の黄色の花は庭や野原や川岸で見ることが出来ますが 誰でも知っているという花では無い。可憐で素朴な野の花で有る。高村光太郎がアトリエの庭に咲く連翹(れんぎょう)の花を大変愛し、彼の告別式で棺桶の上に連翹の一枝が置かれていた事に由来する。黄色の可憐な花に智恵子のイメージを重ねて居たのかも知れない。 安達太良の空の真青や連翹忌 山田春生 連翹忌ほんとの青い空何処 長崎桂子 …

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2月の俳句帳(94)令和三年2月25日

季語「風光る」に寄せて  三寒四温の寒い日、暖かい日、風の冷たい日、風の穏やかな日を重ね、季節は徐々に春めいて行く。「風光る」が季語として使用されたのは江戸時代の末で、実際。俳句として詠まれるようになったのは明治以降と歳時記に記載されている。風が「光る」という詞の響きに新鮮な感じがあり、人気が高まっている季語である。 「風光る」は春の風の一つの様相で、吹く風もきらきら輝いて見え、風に揺らぐ風景…

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1月の俳句帳(93)令和三年1月29日

1)常磐津(ときわず)の流れる茶会釜開き 2)障子窓樹影の揺れや翳(かげ)明かり 3)夕茶室床の蠟梅黄を灯す 4)川抜ける伊吹颪(おろし)や風の脚 5)堀川辺伊吹颪に首すくむ 6)伊吹吹く風道凍てる堀川路 7)川杭に並ぶ寒禽背を丸め 8)雪しまき翠羽の岸辺蒼背照る 9)朝靄(もや)にのどか鴨笛渡る濠 10)月光を浴びて山道寒九郎 11)京町家雪見障子の仄明かり 12)閑けさ…

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12月の俳句帳(92)令和二年12月29日

1)眼に背蒼輝る(ひかる)枯れ葦翠羽撮る 2)川翠羽煌めく蒼背凍て岸に 3)瑠璃紺(るりこん)を眼に焼き付けて寒翠羽 4)銀鈴を振りてかわせび雪の川 5)夕濠に水脈(みお)引き響く鴨の笛 6)杭に乗り翅(はね)を丸めて鴨憩う 7)啼く鳥の息の白さよ凍え川 8)裸木の枝瘤幾つ鴉啼く 9)伊吹より吹き下ろす風鴨の川 10)冬の雁切り絵翳(かげ)濃く飾り窓 11)歳末や胡蝶の友禅舞…

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11月の俳句帳(91)令和二年11月30日

1)蠟芯(ろうしん)の減り行く焔(ほむら)釣瓶落とし 2)老身の燃え尽く余命釣瓶落とし 3)昏鐘を終えて山寺冬灯し 4)寒月を眺めておりし窓の猫 5)筧落ち四囲の寂静寺の冬 6)初時雨並木彩(いろど)り宵散歩 7)声明(しょうみょう)をエンヤも謡う北の冬 8)入会(いりあい)の鐘鳴り終えて笹子啼く 9)外濠の水脈(みお)を零して塒(ねぐら)鴨 10)いろどりの川辺の木々や踏む落…

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10月の俳句帳(90)令和二年10月30日

1)ししおどし(鹿威し)しじま(静寂)を破る庭山水  (京都詩仙堂の鹿威しを詠む) 2)澄み渡る添水(そうず)唐臼(からうす)古刹(こさつ)庭 3)窓八つ灯る茶室に秋灯り (京都曼殊院書院附茶室八窓軒を詠む) 4)陰と陽秋日差し込む茶室翳(かげ) 5)余韻聴く三井の晩鐘秋の空 (大津市の北西にある三井寺(園城寺)の鐘を詠む) 6)水甕(みずがめ)を鳴らす秋雨寂寞(せきばく)と 7)燃…

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9月の俳句帳(89)令和二年9月30日

1)一輪の菊床の間に侘び茶室 2)雁渡る切り絵と鋏(はさみ)灯す窓 3)移らふ季違はずに染め秋の風 4)三日月を漕ぎて吟行星空へ 5)口偏(くちへん)の蹲(つくばい)「足るを知る」九月 6)今はもう棚田の奥の廃案山子(かかし) 7)鉄路鳴り夜汽車通過の鄙(ひな)の秋 8)ヴィオロンの咽(むせ)ぶ調べや秋雨立つ 9)川瀬音立てて素風を聴く岸辺 10)爽籟(そうらい)や肌に感じる朝…

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8月の俳句帳(88)令和二年8月31日

1)「ポツンと一軒家」夢中酷暑去る 2)秋霖や山奥一軒杣(そま)の小屋 3)新涼に出会いて悟る季の移り 4)コロナ禍で終息見えず猫じゃらし 5)秋西日真っ赤に燃える獅子瓦(かわら) 6)宵闇に老い鷺燈す濠の秋 7)甲高く庭に啼声(なきごえ)白雨来る 8)琵琶哀し灯る鬼灯(ほうずき)平家塚 9)経文の筆を書き終え解夏(げげ)の僧 10)ジグザグと昇る連扇恋揚羽 11)羽ばたきて…

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俳句帳(87)令和二年7月31日

1)恋扇揺らぎて乱舞連揚羽 2)重連の踊る恋扇青揚羽 3)水槽の金魚の泡や魚々子(ななこ)箸 4)朝起きや耳をさすりて蝉時雨 5)人気無き河原飛び来る朝翡翠 6)素麺の乱舞の鍋や茗荷(みょうが)切る 7)万録の山抱き加茂の大楠 8)万緑や一山絵の具塗り込めて 9)川散歩ためらう心半夏雨(はんげあめ) 10)碧潭(へきたん)の烟りし淵に白雨降る 11)線上の白雨の滂沱(ぼうだ)…

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5月の俳句帳(85)令和二年5月31日

1)揺らぎ舞い折れ舞う揚羽三重連 2)太文字の一期一会や夏茶室 3)黒揚羽付き添い来たる門扉まで 4)雨脚を聴きてででむし潦(にわたずみ) 5)若葉雨浸み込む命苔の庭 6)かん高く雨を呼び込む雨蛙 7)川辺道並木揺るがす青葉風 8)桑の実を所望の媼(おうな)鄙(ひな)生まれ 9)雨の降る対岸燃えし青葦辺 10)子燕の学び始めや雨の川 11)瀬の音に近寄る小鷺夏来たる 12)…

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4月の俳句帳(84)令和二年4月29日

1)粉蝶(しろちょう)の光零して川岸辺 2)立ち上がる草書の色紙春座敷 3)只管打座(しかんだざ)警策背打つ春衣 4)蝌蚪(かと)の池夜空煌めく杓子星 5)杓子道伸びて山宿蝌蚪の里 6)川渉(わた)る小鷺の脚に水温む 7)春の濠暮色を引きて歩む鷺 8)春嶺に白銀載せて壁絵画 9)春霖(しゅんりん)や音の沁み行く杣(そま)小径 10)荒れ庭に飛び出す揚羽萌ゆる翅 11)藍染めの…