「ムラヴィンスキー」の日記一覧

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ベートーヴェン/ 交響曲第4番・ 第5番 &ワーグナー/ 「ジークフリートのラインへの旅」をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2016年7月以来の鑑賞。 ムラヴィンスキー指揮のレニングラード・フィルモスクワ公演の3枚組のCDから聴いた。 ベートーヴェン/交響曲第4番。 緊張感が充満した序奏。主部に入ってからのうねるような音楽の流れ。鋭いリズム。どこを聴いてもムラヴィンスキーらしさが感じ取れる第1楽章だ。アンサンブルの完璧さはライブであってもいささかも変わらない。 アダージョでは感傷などは一切なく、どっしりとした…

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ブラームス/ 交響曲第3番 ・ショスタコーヴィチ/ 交響曲第6番他をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2016年8月以来の鑑賞。 「タンホイザー」~「ヴェヌスベルクの音楽」。 激しさと官能美を備えたスケールの大きな演奏。録音のせいだろうか、ややオーケストラの響きに奥行き感が感じられない。 ブラームス/交響曲第3番。 骨格の太い堅固な演奏だ。しかも大きくうねるような音楽の運びだ。感傷に浸るような趣はないが、弱音による弦の響きは繊細だ。こうした演奏様式がムラヴィンスキーの特徴の一つかもし…

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チャイコフスキー/ 幻想序曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」・交響曲第5番 他をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2016年8月以来の鑑賞。 幻想序曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」。 堂々とした風格と威厳に満ちたムラヴィンスキーの演奏だ。迫力満点だが、音の大きさだけで勝負しているわけではない。呻くような低弦の重心の低さ、物語を伝えるかのような木管(特にクラリネット)、ロマンティックな旋律を奏でる弦楽器、時に炸裂する打楽器と、オーケストラ音楽を聴く歓びをもたらす演奏だ。 交響曲第5番。 ライブ録音…

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チャイコフスキー の交響曲第5番 とプロコフィエフ の「ロメオとジュリエット」組曲第2番よりをムラヴィンスキーの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 チャイコフスキー/交響曲第5番。 先日聴いた日本での1975年、77年のライブ録音に比べると音質ははるかに良い。かすかに、指揮台の上のムラヴィンスキーの靴音も聴こえる。演奏のスタイルや解釈は前述の演奏、1960年のDGへの録音、さらには1972年のメロディアへの録音とほとんど変わっていない。精緻極まりなく厳しい演奏も健在だ。 第2楽章はアンダンテ・カンタービレ。…

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ベートーヴェン とブラームスの 交響曲第4番をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 ベートーヴェン/交響曲第4番。 音質は同じ年の日本公演の方が、きめが細かくバランスも良い。このCDではいくらか粗さはあるもののエネルギー感は十分だ。演奏を聴いていて、先日聴いた日本公演の演奏とあまりにも似ているので、参考までに両者の演奏時間をブックレットをもとに比べてみた。第1・2楽章は1秒の違い。第3・4楽章は10秒から20秒の範囲の違いである。従って、演奏から…

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グラズノフの 交響曲第5番他をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 グラズノフ/交響曲第5番。 なじみの薄い作曲家で、バレエ音「四季」を聴いているだけだ。この交響曲もブックレットによれば、ムラヴィンスキーが録音で残した唯一のものらしい。グラスノフはロシアのペトログラードに1865年に誕生したとある。ムラヴィンスキーはグラズノフとも親交があったようだ。おそらく祖国の偉大な作曲家の音楽を日本の聴衆に紹介したいとの思いがあったのかもしれ…

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ベートーヴェン の交響曲第6番「田園」他をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。1977年に行われた録音に比べ、いくらか音質は良くなっている気がする。録音スタッフが変わったからかもしれない。 演奏はムラヴィンスキーらしい厳しさがあり、例えばワルター指揮のLPで聴く演奏とはかなり雰囲気が違う。第1楽章ではムラヴィンスキーは特別なことは何もしていないようだが、ほのぼのとした愉し気な気分は十分に伝わってくる。 第2楽章の「小川のほとり」では、前半部分…

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チャイコフスキー /交響曲第6番「悲愴」をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 1975年に同じ会場で録音されたチャイコフスキーの交響曲第5番にくらべ、音楽から放射される力の質がまるで違う。アダージョでも、地下の深いところにあるマグマが今にも吹き出しの時を待っているかのようだ。主部に入ると、凄まじいばかりの爆発を伴う。スピーカーから出てくる音の圧力に気圧されそうになる。やり過ぎと感じる向きもあるかもしれないが、ムラヴィンスキーの並外れた気迫の表…

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モーツァルトの 交響曲第39番と チャイコフスキー の交響曲第5番をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 モーツァルト/交響曲第39番。 アダージョの序奏はフリーメイソンの音楽を思い起こす。主部に入ると、モーツァルトらしい優美で典雅な音楽になるが、ふと訪れる転調によって、哀しみの影がよぎる。この曲では、オーボエが使われない編成になっている。録音は必ずしも良いとは言えないものの、ホール全体の雰囲気は伝わってくる。 第2楽章はアンダンテ。柔和な表情を見せる主題を弦楽器が…

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シベリウス の交響曲第7番と チャイコフスキーの バレエ音楽「くるみ割り人形」より抜粋をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 シベリウス:交響曲第7番。 バルビローリの指揮するハレ管弦楽団、コリン・デイヴィスの指揮するロンドン交響楽団の演奏で聴いている。ムラヴィンスキーの演奏は厳しさが基底にあり、体験したことはないが、吸い込めば肺の奥まで冷気に満たされるような凛とした北欧の空気感がある。時にはダイヤモンドダストの輝きを見るようでもある。フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットの木管楽…

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シューベルト の交響曲第8番「未完成」他をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 交響曲第8番「未完成」。 第1楽章の最初の部分では主旋律が聞き取りずらい。ホールに響く音像のイメージは掴むことができる。実演ではかなり違った響きがホール全体に広がったのだろう。ワルターやクライバーの演奏が愛聴盤だ。各々、趣が異なるものの、シューベルトの音楽にあるロマン的な香りや、あふれずにはおかない情感は双方から、ともに伝わってくる。しかし、おそらく録音のせいだと…

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チャイコフスキーの 交響曲第5番をムラヴィンスキー指揮で聴く

2019年2月以来の鑑賞。 ムラヴィンスキー来日ライブ・エディションの第2集。 マイクがオーケストラから離れたところにセットされていたのかもしれない。演奏から、力強さと、各楽器の輪郭は把握できるものの、全体の響きは痩せている。それでもホール全体の雰囲気は伝わってくる。 ムラヴィンスキー指揮のチャイコフスキーは、ウィーン・ムジークフェラインザールにおけるDGへの1960年の録音が忘れ難い。ム…

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ブラームス /交響曲第2番他をムラヴィンスキー指揮で聴く

2019年2月以来の鑑賞。 ワーグナー:歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲。 重量級のオーケストラの響きが雪崩のように押し寄せてくる音楽の開始には度肝を抜かれる。演奏には常に情熱と熱気が立ち込め、圧倒的な力強さには驚くばかりだ。一瞬、荒々しさに耳を奪われるが、実はアンサンブルの精度は非常に高い。ムラヴィンスキーによって徹底的に鍛え上げられたオーケストラであろうこと…

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ムラヴィンスキーの指揮で聴くブルックナー の交響曲第9番

2019年3月以来の鑑賞。この曲はジュリーニ指揮のLP(シカゴ交響楽団)が愛聴盤だ。他には朝比奈、マタチッチ、ヴァント、そしてチェリビダッケの演奏も聴いている。ムラヴィンスキーのブルックナーはこのCDのみ。なぜか、ムラヴィンスキーのブルックナーは話題にならないが、その理由もまた分からない。 久しぶりに聴いてみたが決して演奏は悪くない。確かにごつごつした岩に触れたような感触を覚えるが、むしろ素朴…

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ショスタコーヴィチの 交響曲第5番 をムラヴィンスキー指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 ムラヴィンスキーのショスタコーヴィチの演奏はチャイコフスキーの演奏とともに定評があるが、このCDでもその期待を裏切ることはない。手元には他に2種類の演奏があるが、この演奏は最も優れたものとして数え上げられるだろう。ムラヴィンスキーの妥協を許さない意志が演奏の端々に感じられる。激しくうねるような弦、魂の叫びを思わせる金管。楽章の終わりに現れる安息を求めるかのようなフル…

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ベートーヴェン /交響曲第4番他をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 第1楽章の主部に入ってからの快活ともいえる音楽には爽快感がある。楽章終わり近くのトランペットの明るく伸びやかな響きがこの楽章全体の特徴を表している。 第2楽章はアダージョ。録音の良さもあってか、落ち着いた雰囲気や豊かな表情が伝わってくる。フルートやクラリネットの音色は柔らかで心地よい。 第3楽章はメヌエットの表示があるがスケルツォだ。トリオでのオーボエと弦楽器の…

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チャイコフスキー の交響曲第6番「悲愴」をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2022年11月以来の鑑賞。 第1楽章のアダージョの序奏からして、すでにムラヴィンスキーの「悲愴」だ。深々とした芯の太い、そして揺るぎない構成のしっかりしたオーケストラの響きは曲の冒頭から聴くことができる。暗く、重く、寂寥感が漂い、骨太で構成が強固だ。主部では感情の高揚が劇的だ。 第2楽章はいかにもロシアの音楽だ。雰囲気は楽しそうだが、ふっと不安を感じさせる気分、寂しげな表情が顔を覗かせる。…

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ムラヴィンスキーの指揮で聴くチャイコフスキーの交響曲第5番

2022年12月以来の鑑賞。 序奏が素晴らしい。全曲の雰囲気を決定づける。他のレーベルから出ているものを冒頭の部分だけ聴き比べたが、音質の点でやはり、この録音がベストだと思う。木管、金管とも、よく歌っている。デュナーミクの妙が味わえる第1楽章だ。 第2楽章も深みのある音楽だ。見事なホルンのソロに呼応するファゴット、クラリネット、オーボエの憂いを含んだ音色が心に沁みる。 第3楽章の優美で心躍…

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ムラヴィンスキーの指揮で聴くチャイコフスキーの交響曲第4番

今年3月以来の鑑賞。 先日聴いたLPがムラヴィンスキーのものであった。それをきっかけに、ムラヴィンスキーを聴きなおしてみようと思い立った。 60年以上も前の録音とは到底思えない録音の鮮明さと迫力は言うに及ばず、オーケストラのアンサンブルの完璧さは瞠目に値する。そして、力強さと表情の豊かさを備えた響きは見事だ。 第2楽章の冒頭のオーボエは悲哀がこもる。転調により、かすかな希望を見出そうとする…

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ムラヴィンスキー/管弦楽小品集を聴く

2018年11月以来の鑑賞。 50年近くも前のことだが、高校時代の友人が手土産代わりに持ってきたLPだ。モノラル録音で、しかも録音は古いが、大切にしている1枚である。久しぶりに聴いた。 「舞踏への勧誘」は名指揮者のワインガルトナーによる編曲を使っての演奏である。すっきりした演奏で、風通しの良さにも似た感覚を味わう。 「ボレロ」。やや遅めのテンポ。録音状態は予想に反して良い。小太鼓の音色が鮮…