「クレンペラー」の日記一覧

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チャイコフスキー の交響曲第6番「悲愴」をクレンペラーの指揮で聴く

2021年12月以来の鑑賞。 曲の冒頭からして、骨太の響きをオーケストラから紡ぎだしているところはいかにもクレンペラーらしい。フルートとファゴットの呼応など思わず聴き入る。そして、常に豊かな低弦が音楽を支えている。アレグロに入る前のクラリネットにすでに秘められたエネルギーを感じる。嵐のような展開部は迫力に満ち、重厚なオーケストラの音色は苦悩を劇的の表現している。 第2楽章も軽やかさや華やかさとは…

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クレンペラーの指揮で聴くチャイコフスキー の交響曲第5番

2021年12月以来の鑑賞。 第1楽章の冒頭でクラリネットが奏でるテーマは、以後、時には形を変えて何度となく姿を現す。クレンペラーは例によって木管を十分に鳴らし、深い味わいをもたらす。主部はアレグロ。仄暗さを帯びながら音楽は進む。その中に豊潤な抒情が織り込まれ、かつ冒頭のテーマが絡み合い、魅力的な音楽になっている。 第2楽章は弦に導かれるようにして、ホルンが印象的な主旋律を奏でる。この旋律を聴く…

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クレンペラーの指揮で聴くチャイコフスキーの 交響曲第4番

2021年12月以来の鑑賞。 クレンペラーのチャイコフスキーというと意外な感じがしたものだが、手元には5番と6番もある。ずいぶん前に購入したが、クレンペラーがチャイコフスキーを演奏したらどんな音楽になるのだろうという思いからだったと記憶している。4番はベームのLPもあるが、同じような思いで購入した。愛聴盤はムラヴィンスキー、ロストロポーヴィチ指揮のもの。 クレンペラーの演奏を少し聴き進めると前述…

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メンデルスゾーン/ 交響曲第3番「スコットランド」/ 交響曲第4番「イタリア」をクレンペラーの指揮で聴く

2022年11月以来の鑑賞。 交響曲第3番「スコットランド」。 長大な序奏は仄暗く、低く雲がたれ込めているかのような陰鬱な気分だ。序奏から派生したような第1主題は、多少の激しさを伴うものの、気分は大きくは変わらない。第2主題は木管で奏でられるものの、第1主題との雰囲気の違いは少ない。クレンペラーの演奏では木管がよく響くという特徴がここでも聴くことができる。 休みなしに第2楽章へ。気分は一転する。…

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マーラー の交響曲第9番をクレンペラーの指揮で聴く

愛聴盤のバーンスタインを含め、これまで幾つかの演奏を聴いてきたが、およそクレンペラーの演奏ほど深々としたものはないだろう。 第1楽章を聴き始めれば、内に秘めたクレンペラーのマーラーへの思いの一端が感じ取ることができる。虚飾や誇張を排した、そして甘美さのなさはクーベリック指揮の演奏に通じるものがある。厳しさと骨太のイメージはクレンペラーならではだ。ラストは「大地の歌」を想起させるものがある。 第2…

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クレンペラーの指揮で聴くマーラー の交響曲「大地の歌」

2023年1月以来の鑑賞。 バーンスタインのLP、ワルターのモノラル録音のCD、そしてこのクレンペラー盤が今でも印象に残る。 バーンスタイン盤は熱気にあふれ、ワルター盤はどこかに暖かみがあり、クレンペラー盤には厳しさがあるが、オーケストラも、歌手も指揮者も異なれば、聴いて抱く印象も違うのは当然だといえる。 この演奏におけるヴンダーリッヒは、声に張りがあり、伸びやかで鞭のようにしなるような、時には…

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マーラー の交響曲第7番 他をクレンペラーの指揮で聴く

2017年11月以来の鑑賞。 クレンペラー特有の悠揚迫らざテンポでだが、たるんだ感じがしない。冒頭のホルンの響きは力強く迫力がある。オーケストラの響きも分厚く、スケールの大きさを感じる。タンバリンの印象的な音もある。トランペットのファンファーレのような楽句に導かれるように音楽は清澄な世界を築き上げる。ヴァイオリンのソロ的な扱いや、ハープも後に加わる。再び冒頭の主題が現れ、堅牢ともいえる構えの音楽…

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マーラー の交響曲第4番をクレンペラーの指揮で聴く

2012年5月以来の鑑賞。 この曲との最初の出会いはアバド/ウィーン・フィルによるLPであった。その後、バーンスタインをはじめ他の指揮者でもそれなりの数の演奏を聴いてきた。マーラーの交響曲の中では比較的演奏時間も短く、親しみやすいと言われるが、自身には聴いてみようという意欲を強く喚起する曲ではない。そうした中にあってクレンペラーの演奏は手に取ってみたいと思う三本の指に入るものだ。三指とはバーンス…

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クレンペラーの指揮で聴くマーラー の交響曲第2番「復活」

2018年12月以来の鑑賞。 バーンスタイン盤とともに愛聴盤だ。 第1楽章は長大だ。何度となく冒頭の主題が現れる。深い森の中を進んでいるようでもあり、死を予感させるようでもある。あるいは回想のようでも。激しさと優しさ、ロマン的な気分と拒絶的な気分が相克する。いずれにしてもクレンペラーの演奏には本物の香りがする第1楽章だ。 第2楽章のアンダンテはマーラーらしい美しさに満ちた主題で始まる。クレンペラ…

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クレンペラーの指揮で聴くフランクの 交響曲ニ短調 とシューマン の交響曲第1番「春」

2021年12月以来の鑑賞。 フランク/交響曲ニ短調。 クレンペラー指揮でこの曲が聴きたくてこのCDを購入したのはずいぶん前になる。因みにこのCDは現在、廃盤となっている。 第1楽章のレントからクレンペラーらしい骨太の演奏だ。主部に入ってもその傾向は変わらない。腰の据わった演奏は聴く者を惹きつけて止まない。カラヤン、ジュリーニと比較して各楽章共にわずかながらクレンペラーの演奏時間が短いことに驚い…

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クレンペラーの指揮で聴くドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」

2020年11月以来の鑑賞。 第1楽章は例によって遅めのテンポだが、聴いていて停滞感はない。スケールの大きな演奏を展開するクレンペラーの特徴がここでも聴くことができる。そして、ほかの指揮者の演奏では、聞こえてこない楽器の音、特に木管楽器が鮮明に聞こえてくるのもクレンペラーの特徴の一つだ。それにしても甘さのかけらもない厳しい演奏だ。 第2楽章は有名なラルゴ。クレンペラーの演奏は妙な甘さ、まとわりつ…

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クレンペラーの指揮で聴くベルリオーズの 幻想交響曲

2021年11月以来の鑑賞。 この演奏に接するまでは、マルティノン、アバドが愛聴盤だった。その後、古楽器によるロトの演奏も気に入っている。 クレンペラーの演奏はまずテンポが遅い。しかし、不思議なことに聴いているときにはそう感じない。むしろ、オーケストラの各楽器の響きや呼応がよくわかり、じっくりと聴き入ることができる。特に何かをしているわけではないのだろうが、腰の据わったスケールの大きな演奏だ。 …

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ブラームス の交響曲第3番・第4番をクレンペラーの指揮で聴く

2021年12月以来の鑑賞。 交響曲第3番。 第1楽章の開始から伸びやかでスケールの大きな演奏が展開する。作曲当時のブラームスの心模様が反映されているのだろう。楽し気であり幸福感の一端がうかがわれる。第1交響曲で見られた厳しさはほとんどない。 第2楽章も穏やかな気分で始まる。ブラームスの素朴な心の内側が図らずも表出されたかのようだ。何物にも束縛されない精神の自由を感じているのかもしれない。 第3…

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ブラームス の交響曲第2番 とアルト・ラプソディをクレンペラーの指揮で聴く

2021年12月以来の鑑賞。 交響曲第2番。第1楽章のホルンと木管によるテーマが田園的で、曲全体の気分を方向付ける。クレンペラーにしては思ったよりも速いテンポで音楽は進む。曲想によるものだろうか、ごつごつした感じは受けず、素朴さやのどかさが広がる。中ほどで不安げな様子が垣間見えるがコーダではそれらが払拭される。 第2楽章はアダージョ。哀愁を帯びた旋律が弦で奏でられるが、深い味わいがある。ブラーム…

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ブラームス の交響曲第1番 ・悲劇的序曲 ・大学祝典序曲をクレンペラーの指揮で聴く

2021年12月以来の鑑賞。 交響曲第1番。 厳しさが滲み出る音楽の開始だ。とりわけティンパニの響きにそれを感じる。音の大きさや強さではない。気迫が込められたものだ。楽章全体を通しても峻厳な趣は保持される。第2主題は穏やかな気分のものであっても甘さはない。孤高の指揮者クレンペラーの姿が思い描かれる。 第2楽章は長調だが一抹の侘しさがを伴う。オーボエをはじめ木管がよく歌うのはクレンペラーの指揮によ…

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ベートーヴェンの 交響曲第9番「合唱」をクレンペラーの指揮で聴く

2022年7月以来の鑑賞。 クレンペラーが初めてフィルハーモニア管弦楽団を指揮した第9。この録音に先立って、1957年11月15日に行われたコンサートのライブレコーディングのCDも聴いているが、名演だ。 第1楽章においてクレンペラーの特徴のほぼ全てが現れていると言ってよい。スケールが大きく、力強く骨太で、虚飾や誇張のない演奏は時に無愛想の感を免れないかもしれない。 第2楽章では例によって木管の響…

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ベートーヴェンの 交響曲第6番「田園」他をクレンペラー指揮で聴く

2022年7月以来の鑑賞。 交響曲第6番「田園」。 作曲者自身によって名付けられた「田園」。聴覚の疾患によりベートーヴェンが自然への強い愛着を得たことはよく伝えられている。クレンペラーの演奏は、淡々としたもので、前述の作曲者の抱えたハンディキャップをことさら意識したものではない。あるいは意識したが故に敢えて音楽にのみに集中したのかも知れない。いずれにしても「田舎に着いたとき」の気分は、演奏から十…

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ベートーヴェンの 交響曲第3番「英雄」他をクレンペラーの指揮で聴く

2022年17月以来の鑑賞。 交響曲第3番「英雄」。 フルトヴェングラー、バーンスタインが愛聴盤だがクレンペラーもその一角を担う。演奏はスケールの大きな、そして彫りの深いものである。使用されている楽器にトロンボーンが含まれていないにもかかわらず、重厚で壮大な響きを創造したベートーヴェンの天才とクレンペラーの演奏の偉大さに感心せざるを得ない。 第2楽章は有名な「葬送行進曲」。例によってゆったりとし…

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ベートーヴェンの 交響曲第2番・第4番 ・バレエ音楽「プロメテウスの創造物」をクレンペラーの指揮で聴く

2022年7月以来の鑑賞。 交響曲第2番。 第1楽章のアダージョの序奏に、すでにクレンペラーらしさが溢れる。遅めのテンポで堂々とした構えは、堅牢な建造物を思わせる。主部ではリズムに活性があり細部にまで神経が行き届いている。例によって木管の音像は明瞭だ。 第2楽章はラルゲット。幾多の演奏の中にあって、この演奏ほど心に響くものを他には知らない。美しい旋律とふくよかな音楽は日常の不安など、いつしかどこ…

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ベートーヴェンの 交響曲第1番・第7番 序曲「コリオラン」をクレンペラーの指揮で聴く

2022年7月以来の鑑賞。 懐かしい故郷へ帰ってきたような思いに一瞬囚われた。 交響曲第1番。 アダージョの序奏に続き、主部に入るが、所々にハイドンやモーツァルトを想起させる楽句もあるものの、堂々とした佇まいや音楽の前進性はベートーヴェンならではだ。クレンペラーの演奏はベートーヴェンの音楽の構築性を余すところなくとらえたものでスケールの大きなものだ。 第2楽章はアンダンテ。ふくよかで、心和む音楽…