「ベートーヴェン」の日記一覧

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ベーム指揮によるベートーヴェン の序曲集をLPで聴く

2017年8月以来の鑑賞。棚を見ると序曲集としてまとまったものは、ジンマン指揮のものと、テンシュテットのものだけしかなく、LPではこの1枚だけである。交響曲や協奏曲の余白に収められていることが多いため、序曲をまとめて聴く機会はあまりなかったように思う。このLPのA面はウィーン・フィル、B面はドレスデン国立管弦楽団によるものだ。今思うとなかなか粋な計らいともいえる。 「エグモント序曲」はウィーン・…

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ベートーヴェン のピアノ協奏曲第1番をポリーニのピアノとヨッフムの指揮で聴く

2020年12月以来の鑑賞。 ポリーニのピアノで聴く。指揮者はヨッフム。というのもベームの死去により、1番と2番の収録が叶わなかったからで、ヨッフムはピンチヒッターといえるかもしれない。 第1楽章は思いの外テンポは速い。その結果、音楽に溌溂とした若々しさが感じられた。しかし、厚みがない。ベームの指揮であれば、趣がかなり違っていたであろうと思われる。この演奏はとりあえず音楽が進行しているだけという…

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ベートーヴェン のピアノ協奏曲第5番「皇帝」他をワイセンベルクのピアノで聴く

ピアノ協奏曲第5番「皇帝」。 第1楽章は独奏ピアノがカデンツァ風な演奏を披露した後、第1ヴァイオリンが第1主題を奏でる。この楽句は堂々としていて印象深い。解説書に譜例も掲載されていて、その素晴らしさを感じる。第2主題も併記されている。2つのテーマを軸に目と耳で演奏を味わう。ワイセンベルクのピアノは華やかであったり陰影を帯びたものであったりと変化と起伏に富む。カラヤンの演奏にどことなく底の浅さを覚…

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【音楽・行楽】PAC名曲コンサート & 「アーモンド・フェスティバル」

  3月16日(土)は、PAC(兵庫芸術文化センター管弦楽団)の第38回名曲コンサート、17日(日)は東洋ナッツのアーモンド・フェスティバルに行ってきました。 (1)PAC第38回名曲コンサート   ・日時 3月16日(土) 15:00開演   ・会場 兵庫県立芸術文化センター 大ホール   ・演奏 PAC(兵庫芸術文化センター管弦楽団)        指揮:オッコ・カム ヴァイオリン:辻彩奈…

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ベートーヴェンの 交響曲第6番「田園」他をクレンペラー指揮で聴く

2022年7月以来の鑑賞。 交響曲第6番「田園」。 作曲者自身によって名付けられた「田園」。聴覚の疾患によりベートーヴェンが自然への強い愛着を得たことはよく伝えられている。クレンペラーの演奏は、淡々としたもので、前述の作曲者の抱えたハンディキャップをことさら意識したものではない。あるいは意識したが故に敢えて音楽にのみに集中したのかも知れない。いずれにしても「田舎に着いたとき」の気分は、演奏から十…

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クレンペラー指揮で聴くベートーヴェン の交響曲第5番・第8番 エグモント序曲

2022年7月以来の鑑賞。 交響曲第5番。 クレンペラーのテンポはゆったりとしたもので、音楽は悠揚迫らざるものだ。この演奏に込められたエネルギーも尋常ならざるものがある。巨匠クレンペラーの姿が第1楽章ですでに見え始める。 第2楽章も聴いていて遅いとは感じない。安らいだ気分の楽句が多いが、このテンポによって安らぎはより増幅されているかもしれない。クレンペラーの中にある優しさや寛容性の一端に触れた気…

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ベートーヴェンの 交響曲第3番「英雄」他をクレンペラーの指揮で聴く

2022年17月以来の鑑賞。 交響曲第3番「英雄」。 フルトヴェングラー、バーンスタインが愛聴盤だがクレンペラーもその一角を担う。演奏はスケールの大きな、そして彫りの深いものである。使用されている楽器にトロンボーンが含まれていないにもかかわらず、重厚で壮大な響きを創造したベートーヴェンの天才とクレンペラーの演奏の偉大さに感心せざるを得ない。 第2楽章は有名な「葬送行進曲」。例によってゆったりとし…

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ベートーヴェンの 交響曲第2番・第4番 ・バレエ音楽「プロメテウスの創造物」をクレンペラーの指揮で聴く

2022年7月以来の鑑賞。 交響曲第2番。 第1楽章のアダージョの序奏に、すでにクレンペラーらしさが溢れる。遅めのテンポで堂々とした構えは、堅牢な建造物を思わせる。主部ではリズムに活性があり細部にまで神経が行き届いている。例によって木管の音像は明瞭だ。 第2楽章はラルゲット。幾多の演奏の中にあって、この演奏ほど心に響くものを他には知らない。美しい旋律とふくよかな音楽は日常の不安など、いつしかどこ…

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ベートーヴェンの 交響曲第1番・第7番 序曲「コリオラン」をクレンペラーの指揮で聴く

2022年7月以来の鑑賞。 懐かしい故郷へ帰ってきたような思いに一瞬囚われた。 交響曲第1番。 アダージョの序奏に続き、主部に入るが、所々にハイドンやモーツァルトを想起させる楽句もあるものの、堂々とした佇まいや音楽の前進性はベートーヴェンならではだ。クレンペラーの演奏はベートーヴェンの音楽の構築性を余すところなくとらえたものでスケールの大きなものだ。 第2楽章はアンダンテ。ふくよかで、心和む音楽…

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ベートーヴェン/ 交響曲第4番・ 第5番 &ワーグナー/ 「ジークフリートのラインへの旅」をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2016年7月以来の鑑賞。 ムラヴィンスキー指揮のレニングラード・フィルモスクワ公演の3枚組のCDから聴いた。 ベートーヴェン/交響曲第4番。 緊張感が充満した序奏。主部に入ってからのうねるような音楽の流れ。鋭いリズム。どこを聴いてもムラヴィンスキーらしさが感じ取れる第1楽章だ。アンサンブルの完璧さはライブであってもいささかも変わらない。 アダージョでは感傷などは一切なく、どっしりとした…

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ベートーヴェンの 交響曲第2番・第4番をワルター指揮のLPで聴く

2021年の10月以来の鑑賞。 交響曲第2番。 第1楽章のアダージョの序奏から主部に入ると、力強く音楽は進行する。ワルターの演奏は力みがなく暖かい。ソナタ形式による主題の対照も味わい深い。溌溂とした演奏だ。 第2楽章はラルゲット。さりげなく転調するところは、モーツァルトの緩徐楽章にも似ている。旋律の美しさ、和音のふくよかさを伴った抒情性のある音楽をワルターは気負いなく演奏する。 第3楽章…

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ベートーヴェンの 交響曲第3番「英雄」と マーラー 交響曲第10番~アダージョをテンシュテットの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」。 だぶついたところのない演奏だ。また、主旋律ではない声部もよく聴こえる。テンシュテットの意図したものであることは明らかだ。そして、ウィーン・フィルの弦楽器の滑らかで潤いのある響きは健在だ。楽章の終わり近くのホルンの響きも忘れ難い。切れ味と重厚さを備えた第1楽章だ。 第2楽章は荘重であっても、徒に重々しさを強調してはいない。余…

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ベートーヴェンの 交響曲第6番「田園」・ 交響曲第5番「運命」他をベームの指揮で聴く

2021年5月以来の鑑賞。 2枚組のCDの帯には「伝説的名演が甦る!ベーム/ウィーン・フィル’77年ライブ初CD化」とある。アンコールも含めすべてベートーヴェンの曲。 交響曲第6番「田園」。 第1楽章には「田舎に着いてはればれとした気分がよみがえる」のサブタイトルがある。ベームの演奏には田園の空気やその動きまでもが表現されているようだ。弱音の美しさは格別だ。静けさの中の喜びが、しっとりとし…

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ベートーヴェン の交響曲第6番「田園」他をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。1977年に行われた録音に比べ、いくらか音質は良くなっている気がする。録音スタッフが変わったからかもしれない。 演奏はムラヴィンスキーらしい厳しさがあり、例えばワルター指揮のLPで聴く演奏とはかなり雰囲気が違う。第1楽章ではムラヴィンスキーは特別なことは何もしていないようだが、ほのぼのとした愉し気な気分は十分に伝わってくる。 第2楽章の「小川のほとり」では、前半部分…

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ベートーヴェンの 交響曲第2番・第7番をベーム指揮で聴く

2021年4月以来の鑑賞。録音当時86歳のベーム。9月30日に、モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」を指揮しているが、そのDVDでベームの姿を見ることができる。さすがに年齢を感じる。 交響曲第2番も椅子に座っての指揮であったことはジャケットの写真で確認できる。演奏に耳を傾ければ、堂々とした序奏に続く溌溂とした、そして構えのしっかりとした音楽がそこにある。 第2楽章はラルゲット。ウィーン・フィ…

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今年の聴き納めはクレンペラー指揮によるベートーヴェンの第9

2019年1月以来の鑑賞。 同じ年の同じ月の下旬に録音されたCDの前に収録されたもの。オーケストラも独唱陣も同じで、違うのはホール。そのためか残響の少なさを少し感じ、ティンパニはいささか乾いた音に聞こえた。 例によってフルートやクラリネット、オーボエなどをたっぷりと鳴らしながら堂々とした揺るぎのないクレンペラーの演奏はすでに第1楽章で確認することができる。 第2楽章ではクレンペラーの強い集…

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ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」& 交響曲第4番をジュリーニの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 ライブ録音であることを告げられていなければ、そうとは判断がつかないかもしれないほど、音が良い。 ジュリーニは例によってゆったりとしたテンポで音楽を進める。第1楽章で20分を超える演奏には接したことがない。しかし、全く停滞感はない。主旋律はもちろん、内声部もくっきりと浮かび上がる。ジュリーニの一音たりともゆるがせにしないという信念のようなものがあるのかもしれない。 …

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ベームの指揮で聴くベートーヴェンの 交響曲第9番「合唱」

2021年10月以来の鑑賞。ベーム最後の録音となったLP。 1981年に長逝したベームはモーツァルト、ブラームス、ブルックナー、そしてベートーヴェンなど多くの録音も残した。手元にはベームのLPやCD 、DVDがそれなりの数でそろっているが、そのいずれもが感動的であった。 この第9もゆったりとしたテンポが印象的だ。また、ベームらしい堅固な構成力も感じさせる。この演奏でもウィーン・フィルとの相性…

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ベートーヴェン /交響曲第4番他をムラヴィンスキーの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 第1楽章の主部に入ってからの快活ともいえる音楽には爽快感がある。楽章終わり近くのトランペットの明るく伸びやかな響きがこの楽章全体の特徴を表している。 第2楽章はアダージョ。録音の良さもあってか、落ち着いた雰囲気や豊かな表情が伝わってくる。フルートやクラリネットの音色は柔らかで心地よい。 第3楽章はメヌエットの表示があるがスケルツォだ。トリオでのオーボエと弦楽器の…