「クラシック音楽」の日記一覧

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クレンペラーの指揮で聴くマーラー の交響曲「大地の歌」

2023年1月以来の鑑賞。 バーンスタインのLP、ワルターのモノラル録音のCD、そしてこのクレンペラー盤が今でも印象に残る。 バーンスタイン盤は熱気にあふれ、ワルター盤はどこかに暖かみがあり、クレンペラー盤には厳しさがあるが、オーケストラも、歌手も指揮者も異なれば、聴いて抱く印象も違うのは当然だといえる。 この演奏におけるヴンダーリッヒは、声に張りがあり、伸びやかで鞭のようにしなるような、時には…

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シベリウスの 交響曲第2番・第6番をバルビローリの指揮で聴く

2018年1月以来の鑑賞。シベリウスの交響曲の中では聴く頻度が最も高い。愛聴盤はバーンスタインがウィーン・フィルを指揮したもの。ディヴィス盤も捨てがたい。 バルビローリの演奏は、文字通り端正で、色彩感があり美しい。第1楽章を聴いただけで十分満足できる。音楽に姿勢があるとすれば、その立ち姿もまた美しいだろうと思われる。 第2楽章は4つの楽章の中では最も好きなもの。劇的であるばかりではなく、ロマン的…

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マーラー の交響曲第7番 他をクレンペラーの指揮で聴く

2017年11月以来の鑑賞。 クレンペラー特有の悠揚迫らざテンポでだが、たるんだ感じがしない。冒頭のホルンの響きは力強く迫力がある。オーケストラの響きも分厚く、スケールの大きさを感じる。タンバリンの印象的な音もある。トランペットのファンファーレのような楽句に導かれるように音楽は清澄な世界を築き上げる。ヴァイオリンのソロ的な扱いや、ハープも後に加わる。再び冒頭の主題が現れ、堅牢ともいえる構えの音楽…

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バルビローリの指揮で聴くシベリウス 交響曲第1番・第5番

2018年1月以来の鑑賞。 シベリウス・コレクションというBoxから。よく見ると、COMPLETE SYMPHONIES & ORCHESTRAL WORKSとあった。つまり、交響曲全集でもあり、加えて管弦楽曲が全て納められているということだ。 交響曲第1番。冒頭のティンパニを伴うクラリネットのソロによる旋律は極めて印象深い。続く楽句は力強さと輝きを備えるが、やがて歌うような、なだらかな音楽が続…

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ベートーヴェン のピアノ協奏曲第1番をポリーニのピアノとヨッフムの指揮で聴く

2020年12月以来の鑑賞。 ポリーニのピアノで聴く。指揮者はヨッフム。というのもベームの死去により、1番と2番の収録が叶わなかったからで、ヨッフムはピンチヒッターといえるかもしれない。 第1楽章は思いの外テンポは速い。その結果、音楽に溌溂とした若々しさが感じられた。しかし、厚みがない。ベームの指揮であれば、趣がかなり違っていたであろうと思われる。この演奏はとりあえず音楽が進行しているだけという…

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マーラー の交響曲第4番をクレンペラーの指揮で聴く

2012年5月以来の鑑賞。 この曲との最初の出会いはアバド/ウィーン・フィルによるLPであった。その後、バーンスタインをはじめ他の指揮者でもそれなりの数の演奏を聴いてきた。マーラーの交響曲の中では比較的演奏時間も短く、親しみやすいと言われるが、自身には聴いてみようという意欲を強く喚起する曲ではない。そうした中にあってクレンペラーの演奏は手に取ってみたいと思う三本の指に入るものだ。三指とはバーンス…

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ベートーヴェン のピアノ協奏曲第4番 をポリーニのピアノとベームの指揮で聴く

2023年2月以来の鑑賞。この曲もいくつかの演奏を聴いているがこのLPを聴いて、やはり物が違うという感じは否めない。ポリーニのしなやかで引き締まったピアノがまずは心に残る。親子ほどに年齢の違う二人の、相思相愛ともいえる音楽上での深い理解と共感がある。同じことはモーツァルトの協奏曲の演奏にも感じられたことでもある。ベームの指揮により、ウィーン・フィルもすっきりとした、そして柔らかい響きを存分に表出…

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クレンペラーの指揮で聴くマーラー の交響曲第2番「復活」

2018年12月以来の鑑賞。 バーンスタイン盤とともに愛聴盤だ。 第1楽章は長大だ。何度となく冒頭の主題が現れる。深い森の中を進んでいるようでもあり、死を予感させるようでもある。あるいは回想のようでも。激しさと優しさ、ロマン的な気分と拒絶的な気分が相克する。いずれにしてもクレンペラーの演奏には本物の香りがする第1楽章だ。 第2楽章のアンダンテはマーラーらしい美しさに満ちた主題で始まる。クレンペラ…

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ポリーニのピアノによるブラームスのピアノ協奏曲第2番をアバド指揮の演奏で聴く

昨年11月以来の鑑賞。 このLPは少し変わっていて、ジャケットの裏面はすべて外国語表記(英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語と思われる)だが、中に日本語表記の解説が一枚同梱されている。 演奏は、重厚でありつつ、ロマンの香りも立ち昇る。全体が4楽章であることも含め、協奏曲という範疇から少し踏み出し、ピアノを含む交響曲といった趣すらある。 第1楽章からすでにピアノとオーケストラの対話と呼応が鮮烈だ…

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クレンペラーの指揮で聴くフランクの 交響曲ニ短調 とシューマン の交響曲第1番「春」

2021年12月以来の鑑賞。 フランク/交響曲ニ短調。 クレンペラー指揮でこの曲が聴きたくてこのCDを購入したのはずいぶん前になる。因みにこのCDは現在、廃盤となっている。 第1楽章のレントからクレンペラーらしい骨太の演奏だ。主部に入ってもその傾向は変わらない。腰の据わった演奏は聴く者を惹きつけて止まない。カラヤン、ジュリーニと比較して各楽章共にわずかながらクレンペラーの演奏時間が短いことに驚い…

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ポリーニのピアノとベームの指揮で聴くブラームス ピアノ協奏曲第1番

2023年11月以来の鑑賞。 ゼルキン、アラウ、バレンボイム、ツィマーマンなどのピアノで聴いているが、この演奏を最も好む。ベーム、ポリーニ、ウィーン・フィルの組み合わせはいくつもあるが、そのいずれもが名演である。ベームの指揮は大上段に構えずともぬくもりがあり、しかもスケール感がある。ポリーニのピアノの響きは例によって透明感あふれるもので、オーケストラとの融合も非の打ち所がない。 第1楽章には指揮…

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クレンペラーの指揮で聴くドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」

2020年11月以来の鑑賞。 第1楽章は例によって遅めのテンポだが、聴いていて停滞感はない。スケールの大きな演奏を展開するクレンペラーの特徴がここでも聴くことができる。そして、ほかの指揮者の演奏では、聞こえてこない楽器の音、特に木管楽器が鮮明に聞こえてくるのもクレンペラーの特徴の一つだ。それにしても甘さのかけらもない厳しい演奏だ。 第2楽章は有名なラルゴ。クレンペラーの演奏は妙な甘さ、まとわりつ…

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名ピアニストポリーニの訃報に接して

朝刊で、ポリーニの訃報に接した。驚きよりも悲しみが沸き上がった。 音楽を聴き始めてから、最も多く聴いたピアニストはポリーニであっただろう。おそらく最初に聴いたポリーニの演奏はこのLPであったはずだ。2017年12月以来の鑑賞だ。 ピアノ協奏曲第23番。 何度聴いたか知れないLP。しかし、聴くたびに新しい発見とこの音楽に接する喜びがある。ベームの指揮は絶妙のテンポであり、ポリーニのピアノは一音たり…

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ベートーヴェン のピアノ協奏曲第5番「皇帝」他をワイセンベルクのピアノで聴く

ピアノ協奏曲第5番「皇帝」。 第1楽章は独奏ピアノがカデンツァ風な演奏を披露した後、第1ヴァイオリンが第1主題を奏でる。この楽句は堂々としていて印象深い。解説書に譜例も掲載されていて、その素晴らしさを感じる。第2主題も併記されている。2つのテーマを軸に目と耳で演奏を味わう。ワイセンベルクのピアノは華やかであったり陰影を帯びたものであったりと変化と起伏に富む。カラヤンの演奏にどことなく底の浅さを覚…

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クレンペラーの指揮で聴くベルリオーズの 幻想交響曲

2021年11月以来の鑑賞。 この演奏に接するまでは、マルティノン、アバドが愛聴盤だった。その後、古楽器によるロトの演奏も気に入っている。 クレンペラーの演奏はまずテンポが遅い。しかし、不思議なことに聴いているときにはそう感じない。むしろ、オーケストラの各楽器の響きや呼応がよくわかり、じっくりと聴き入ることができる。特に何かをしているわけではないのだろうが、腰の据わったスケールの大きな演奏だ。 …

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ベートーヴェンの ピアノ協奏曲第3番・4番をワイセンベルクのピアノで聴く

ピアノ協奏曲第3番。 ブックレットには第1主題と第2主題の譜例が掲載されていて、それらを横目に演奏を聴くと、実によく造られた音楽たとの印象を持つ。独奏ピアノも特に第1主題をベースにした音楽を奏でつつ自由に発展、変化していく。カラヤンの指揮はワイセンベルクの引き立て役に徹しているかのようだ。ハ短調という調性にもよるだろうが、力強さと前進性を感じる第1楽章だ。 第2楽章はラルゴ。この楽章の主題も記さ…

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マーラー の交響曲第9番をバーンスタイン指揮で聴く

2023年1月以来の鑑賞。 バーンスタイン指揮による同曲は、ニューヨーク・フィル(1965年録音)、アムステルダム・コンセルトヘボウ(1985年)、イスラエル・フィル(1985年)、そして、ウィーン・フィル(1971年)のDVDを視聴している。このCDで聴く演奏は、一言でいえば非常にスリリングなものだ。 第1楽章はある種の刺激性と緊張感の強い演奏だ。一期一会ともいうべきベルリン・フィルとの真剣勝…

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ブラームス の交響曲第3番・第4番をクレンペラーの指揮で聴く

2021年12月以来の鑑賞。 交響曲第3番。 第1楽章の開始から伸びやかでスケールの大きな演奏が展開する。作曲当時のブラームスの心模様が反映されているのだろう。楽し気であり幸福感の一端がうかがわれる。第1交響曲で見られた厳しさはほとんどない。 第2楽章も穏やかな気分で始まる。ブラームスの素朴な心の内側が図らずも表出されたかのようだ。何物にも束縛されない精神の自由を感じているのかもしれない。 第3…

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ベートーヴェン のピアノ協奏曲第1番・2番をカラヤン指揮によるワイセンベルクのピアノで聴く

2014年12月以来の鑑賞。 第1番。冒頭のテーマを耳にした瞬間に、カラヤンらしいゴージャスで磨きのかかったオーケストラの響きが印象に残る。そのためか、続くワイセンベルクのピアノは影が薄いとすら感じる。しかし、終盤のカデンツアでは存在感を見せる。 第2楽章のラルゴはどことなく作為が感じられる。持って回ったような演奏に聴こえてしまう。カラヤンは自己陶酔しているかのようだ。音楽の深みがないし、聴いて…

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ブラームス の交響曲第2番 とアルト・ラプソディをクレンペラーの指揮で聴く

2021年12月以来の鑑賞。 交響曲第2番。第1楽章のホルンと木管によるテーマが田園的で、曲全体の気分を方向付ける。クレンペラーにしては思ったよりも速いテンポで音楽は進む。曲想によるものだろうか、ごつごつした感じは受けず、素朴さやのどかさが広がる。中ほどで不安げな様子が垣間見えるがコーダではそれらが払拭される。 第2楽章はアダージョ。哀愁を帯びた旋律が弦で奏でられるが、深い味わいがある。ブラーム…